(C)yamakita


ちきゅう

2005年9月13日
 宇宙作家クラブで、地球深部探査船ちきゅうを見学に行ったので、せっかくだから撮影した写真を公開してみることにしました。
 通常のルートでは見せてくれない裏のほうまで見学させてくれたので、なかなか面白かった。
 でも、どうして船の扉って、あんなに低いんでしょうね。私ですら頭を打ちそうな扉がいっぱい。掘削のプロとしてノルウェーの人なんかもたくさん乗っているはずなんですが、彼らは私よりもさらに背が高いはずなんですけどねえ。エレベーターも、小さいのがあったんですが、その入り口の扉が、高さ185cmくらいしか無いんですよ。

撮影 やまきた写真クリックで、大きな写真
 全くちきゅうと関係なさそうな画像から始まってしまうのだが、もちろんこれもちきゅうに関係ある。ちきゅうの休憩室には茶室が用意されているのだ。右手の扉から入って畳の部屋でお茶を戴くらしい。そして、正面に見えるししおどしももちろん、船内の設備だ。やはりグローバルでインターナショナルな研究船であるちきゅうには、日本を紹介する文化施設が必要なのだろう。
 でも、乗員の中に、お茶を立てられる人はいるのだろうか?
 どっちかというと、畳部屋でごろ寝したいっていう用途に使われそうな気が…。
 後に、TV局からこの写真を使いたいという話があった。私は、「何ヶ月も移動できない船内で、しかも個人の部屋はとても狭い。だから、乗組員のリラックスのためには、和室の一つくらい必要だと思いますよ」と答えておいたのだが、こちらの説明は無視されて、無駄遣い的に扱われたようだ。
 船というのは、基本的に階段を上がり下がりするものだ。エレベーターやエスカレーターの付いている船って見たこと無いだろう。ところが、ちきゅうは異常に背の高い船なので、上から下まで昇り降りが大変だ。実はちきゅうにはエレベーターは付いているのだが、とっても狭いのが1基だけ(あんなでかい船で!)で、余り利用されているようには見えなかった。やはり海の男は健脚なのだ。

 海底を観察するための潜水艇…ではない。救命艇だ。ちきゅうが沈むときは、多分周囲は火災となっている可能性が高い。だから、普通のボートではなく、カバー付きの救命艇が設置されている。
 もちろん、そのような状態で艇の上に乗れるはずがないので、上についている棒は手すりじゃない。これは、散水用のパイプだ。周囲が高熱なので、このパイプから散水して、船体の温度を下げる。
 ちきゅうのブリッジだ。何人もいる人影は、船員さんではなく見学の人。停泊中だから、船員さんの役目は、見学者が余計なものを触ったりしないように見張っていることだ。
 これがブリッジにある舵。でも、電子的に制御されているせいか、すごくちっちゃな(自動車のハンドルより小さい)ハンドルだ。
 こちらが、舵の横にある(写真の右端に見えているのが、上の舵だ)スロットル。この船は、海上で静止する必要があるので、360°向きを変えることのできるスラスターが船の左右に二つずつ付いている。その出力を操作するのがこれ。
 で、スラスターはモーターで動く。ではその電気は、重油を炊いて発電機を動かしているのだ。燃料効率は悪いのだが、こちらのほうが微調整がやりやすいので、燃費よりもそちらを優先したようだ。
 やはり、日本の船には必ずある金毘羅さんの神棚。ブリッジにちゃんとありました。見学者の誰かが、もし日本が有人宇宙船を作ったら、神棚…は無理でも、お札くらいは貼られるに違いないって言っていた。私もそう思う。

 写真一枚に納まりきらないほど高いタワー。天辺は、海上100mほどあるそうな。
 赤いボタンは、イマージェンシーの印。これは、緊急時にライザー管(真っ直ぐ海中に降ろされる太い管)と海底にあるBOP(暴噴防止装置)を切り離すするときに押されるボタンだ。
「駄目です。噴射を抑止できません」
「む、仕方が無い。ライザー管切り離せ」
とかいったドラマが、ここで行われるらしい。
 ちょっと記憶があやふやなんだけど、多分採取した試料(つっても、細長い岩の塊)をここに置くんだったと思う。
 タワーの下から、真上を見上げて撮影。なんか、左にだけ機械がいっぱいあって、右がスカスカなのは、将来より発達した掘削機械をこちらに設置する予定だから。
 これが、下へと伸びる管の一番上を支える機械。そして、上の円筒形がドリルを回すモーターらしい。
 下から見上げたところ。管を受ける部分が見える。
 この機械、16折の滑車でぶら下げられている。こうでもしないと、重すぎて動かせないらしい。
 同じところにある機械。説明は聞いたはずなんだけれど、ちょっと忘れてしまった。
 今は蓋をしてあるが、ここに穴が開いていて、ここから管を降ろして掘削する。さっきも書いたけど、後の発展を期して、スカスカの側にも、もう一つ同じ蓋がある。そっちは、現在使われていないんだけどね。
 同じ機械を別方向から撮影。
 上の機械を操作する人は、このかごの中に入っている。ちきゅうが崩壊の危機になったとき、最後まで踏みとどまって命をかけて船の破壊と、脱出する人員の生命を守るために戦う男たちの戦場だ。
 眼を洗うところ。プールのちょろちょろした洗眼器と違って、でかいシャワーになっている。なにしろ、眼に入ったら危険だし、それこそ眼が良く見えない状態で使うことになるので、大体のところに顔を持っていったら洗えるようになっている。
 ちなみに、これと同じものは、船のそこらじゅうに設置されている。
 一つ下のフロアへ移動するときにあったでかい機械。何なのか忘れた。ま上から撮ったもの。
 一番下。
 下から二番目。
 真ん中より少し上。
 一番上。
 さっきの穴を下から見たところ。
 別方向から撮影してみた。ちなみに、6本の黄色い棒は、巨大な油圧ジャッキで、ライザー管の位置やら傾きやらを調整するらしい。で、それについてる黒い太いパイプ(マジで30センチ以上ある)は、油圧パイプ。こんな太さで調整する圧力ってどんな巨大なものか、想像もつかない。
 真下を見ると、そこはプールじゃなくて、海。ようするに、この船は、船の真ん中に穴が開いているのだ。穴が長方形なのは、上にも書いた将来2本目の掘削機を設置するための余裕だ。
 別方向から撮影したもの。横須賀港の水なので、結構汚い。もちろん、実際の掘削をする海域はきれいな水なんだろう。
 ライザー管が山と積まれている。2500メートル分、積んであるそうな。
 ちなみに、管の太さは見た感じ80センチくらいかなあ。
 階段の途中で撮影した、記念艦三笠。対岸にあって、とてもよく見えた。
 こんなに良く取れるなら、三笠からはちきゅうが見えるに違いない。
 そう思って、後で行くことにした。せっかく横須賀まで来たんだしね。
 多分、泥水(でいすい)関係の機械だと思うんだけど不明。
 泥水のポンプ。泥水とは、ドリルの先端まで送って、削り屑を流す潤滑油の役目を果たす液体(というにはゲル状のもの)。
 なにせ、高温高圧(地底何1000メートルともなると物凄い超高圧だ)に耐え、しかも流動性を持ち、変質しないものでなければならない。そのため、掘削会社ごとに、その配合は秘伝らしい。
 ちなみに、泥水は回収して、削り屑を分離して、何度でも使う。ただし、どうしても減るので、少しずつ足していくらしい。そのときに、ドリルの深度に合わせて、少しずつ配合を変えていくのが、重要だという。まさに職人さんの世界。
 電話ボックス。下は開きっぱなし。この部屋はすごくうるさいので、こうやって謝恩しているのだろう。
 エマージェンシーランプ。
 ランプなのは、部屋がうるさいから。ちなみに、一番上のランプは、離船命令だ。
「全員ただちに退艦せよ! 本艦は、まもなく沈没する」
とか言うのだろうか。
 泥水のタンク。ちなみに、泥水は"MUD"であり、これの配合を決めるのは、マッドサイエンティスト…だったら面白いのだが、マッドエンジニアだ。
 でも、これでも十分笑える。
 同じく、色々な泥水タンク(配合を変えるために、色々と別のタンクがある)を撮影している。
 同上。
 同じく。こちらは、ケミカルタンクとあったので、泥水に配合する化学薬品(界面活性剤とかも入っているらしい)のタンクだと思う。
 同じフロアにある、材料置き場。本来なら、泥水に配合する薬品などが置かれているはずだが、まだ搬入されていないらしく、ウェスにつかうボロ布などがあるだけだった。
 先ほどのフロアを一つ下がった、泥水の主要成分を入れておく大きなタンク群。最初はセメントのような粉状の物質として保存されるらしい。
 同じく、タンク群。
 船の最後尾を真上から撮影。上のほうに書いたが、この船は4つのスラスターで動くので、船尾にスクリューが無い。そのためか、垂直に切り立った船尾だった。
 船尾方向からライザー管のスタックを見る。
 同上。
 ライザー管を運ぶクレーン。ちなみに、この台座だけで、ちょっとした小屋くらいある。
 途中で見た機械。用途は不明。
 試料を空気に触れさせないため、このような施設で研究するらしい。ちなみに、この船には研究設備もあって、採取した試料をその場で研究する。
 顕微鏡が3種類。でも、キケンって何だろう。これは触ったらキケンなんじゃなくて、触られると顕微鏡がキケンってことだろうな。
 採取した試料(直径10cmくらいの細長い岩)は、まず1.5mごとに切断され、さらに縦に半分に切断される。そして、半分は船外に持ち出されて世界の研究者に、半分は船内で研究されるとのこと。
 試料を置く台。現在置かれているのは、伊豆沖あたりで試掘した試料らしく、富士山の噴火による火山灰のあとが、素人でもよく判る。
 磁気検査室。分厚い扉は、地磁気などの影響を消すために消磁体で作られた厚い壁だ。これで、岩に残るわずかな磁気を検出して、岩ができたときの地磁気の方向を測定する。
 緊急予備発電室。
 その中の発電機。
 ちきゅうを外から見る。でっかいベランダみたいなのは、ヘリポート。
 というわけで、三笠に行ってそこからちきゅうを撮影した。
 アップにしてみた。
 クレーンを撮ってみた。
 実は、ちきゅうは自衛隊の秘密兵器で、中に巨大な砲塔が隠されている。そして、いざというときには、…というのはもちろん嘘で、三笠の30cm砲。

ちきゅうについて、もっと詳しく知りたい方は、こちらへどうぞ。
JAMSTEC
林譲治さんの、ちきゅう見学記
西村屋さんの、ちきゅうのページ。
背景は、海の素材屋さんから、お借りしました。