(C)yamakita

蒸気機関車を運転してきた

2006年7月23日
 羅須地人鉄道協会のご好意で、本物の蒸気機関車を触らせていただく機会があった。一人一周ずつ実際に運転をさせてもらったのだが、心の奥底から男の子の心がふつふつと湧き上がってきて、まさに感動だった。この感動をわずかでも伝えたいと思い、撮影した写真を公開してみることにした。
 いろんなところを開けて見せてくれたので、普段は撮れない写真が撮れたのではないかと思う。
 ちなみに、こちらの協会が運用しているのは、鉱山などで使われてきた軽便鉄道用の小型の機関車。といっても、今回乗せてもらったのは第二次大戦前から使われてきた歴史のある品だ。そして小さくても本物の蒸気機関車だ。
 汽笛を自分で(!)ポーと鳴らすことの高揚感は、何に例えるといいだろう。子供のころ、初めて自分だけで泊りがけの自転車旅行をして、隣の県への峠を何10分も自転車を押し、ようやく下りになって自転車がすうっと走り出したとき以来かも知れない。

撮影 やまきた写真クリックで、大きな写真
 これが、今回乗せてもらった6号車。軌道の幅は60cmほど。
 かつては、台湾の鉱山で鉱山鉄道として使用されていた機関車らしい。
 蒸気機関車の概念図。燃焼室というのは、運転手が石炭を放り込んで火を燃やしているところ。その熱が、たくさんの細いパイプを通じて一番前の煙突の下まで導かれる。そして、その間にボイラーの水を加熱して、沸騰させるわけだ。図で燃焼室が青い部分で囲まれているのは、熱を無駄に逃がさないように、燃焼室の周囲の壁は全部ボイラーの水で満たされているのだ。
 で、煙突の役割は、ボイラーを加熱し終えた排気を、外に逃がす役目だ。石炭を燃やした排気なのだから、そりゃ真っ黒になっても仕方あるまい。今回の試乗を終えた後、協会の人が言っていたのが、「今晩帰って髪の毛を洗ったら、真っ黒になりますよ」という脅し文句だ。
 ちなみに、今回乗せてもらった小さな機関車でも、ボイラーの水が沸騰して駆動力が得られるようになるまで2時間もかかる。いわゆるD51とかC57のような大きな機関車だと、沸騰するまで丸1日かかるそうだ。それに、加熱して冷してを繰り返すと、部品が痛みやすい。だから、いったんボイラーを焚き始めたら、1ヶ月くらいは火を消さないで、燃やしっぱなしにするそうな。そいつは大変だあ。

 で、前後から見た、パイプの穴だ。上は、燃焼前に燃焼室の中にあいたパイプの穴を撮ったもの。下は、機関車の前を開けて、煙突の下まで通ったパイプの終端だ。
 このパイプ、当然すすであっという間に汚れるから、毎回使った後はパイプの掃除をワイヤの先に毛虫のような形のブラシが付いたもので掃除する。すると、煤がもうもうと出てくる。
 で、上の話では蒸気機関車はいったん罐を燃やすと1ヶ月は火を落とさないというがどうするのかと聞いたら、ボイラーの火をつけたままで、掃除するんだそうな。なるほど、そういえば今回の試乗でも、石炭こそ放り込まなくなったものの、まだ燃焼室がくすぶっている状態で、掃除を始めた。
 ちなみに、蒸気機関車の構造上、前の扉が開いた状態(下の写真のようにように)でも、ボイラーは問題なく焚けるそうな。まあ、このまま走ると冷たい風が入って、ボイラーの温度が下がってしまうのでまずいそうだが。
 下の写真の扉の中に見えているパイプは、蒸気(機関車を動かした後の、使用後の蒸気らしい)を煙突の中に噴き出すためのパイプだそうな。こうすることで、煙突内部の排気を強制的に煙突から外に出し、新しい熱気をボイラーのパイプに通すようにする機構仕組みらしい。内燃機関で言うところの排気ターボのような仕組みだ。

 機関車の横の部分。ボイラーで熱せられた蒸気は、パイプを通って、駆動輪を動かす。下の図では、今シリンダーは左へと押されている(すると駆動輪が時計回りに回って、機関車を前に進む)。だが、しばらくすると今度はシリンダーを右へ動かす力が必要になる(さもなければ、駆動輪は止まってしまう)。すると、青い金具が左へと移動し、今度はシリンダーの左側へと蒸気を導く。
 この青い金具の移動を反対にすると、車輪は逆回転を始める。これが、蒸気機関の進行方向を決める逆転機の役割だ。
 さらに、この逆転機を微調整すると、金具が移動して蒸気が抜け始めるタイミングを調整することができる。こうすることで、機関車の速度が上がって、ピストンの動きが早くなっても、それに蒸気の出し入れを追従させることができるのだ。
 煙がそろそろ出始めたところ。

 どうして薪を燃やしているんだと思うでしょうが、石炭は中々火がつきにくいため、まず薪を燃やして燃焼室を十分に暖め、石炭が燃える環境を作っているところ。もちろん、薪に火をつけるときは新聞紙を束ねて(この束ね方にコツがあって、ちょっと見ると七夕の飾りみたいに見える)火種にするのだ。
 みんなで、真鍮の金具を磨いているところ、きちんと磨くとピカピカになって気分がいい。



 そろそろ、煙も景気よく出てき始めた。
 2枚目3枚目の写真は、その時点で機関車の前の扉を開けてくれて、細いパイプから燃焼室の煙が流れてきていることを見せてくれたところ。みんないっせいに覗き込んで写真を撮っている。
 4枚目は、煙が景気よく出ているところの映像。もしかしたら、アクティブコンテンツを許可しないと表示しないかもしれない。
 というわけで、実際に動かしている映像。協会の人に付いてもらって、教えてもらいながらだが、自分で動かさせてもらった。

 緑の列車は、一般の人用に運用されているディーゼル機関車。赤いのが、我々が動かさせてもらった蒸気機関車。ゆめ牧場に遊びに来た人たちは、我々の蒸気機関車のほうをちょっとうらやましそうに見ていた。

 私が、石炭をくべて、運転しているところ。子供の頃のヒーローになったような気分で、大変爽快。
 上のメーターは蒸気圧計。この機関車は、かつては10気圧近くで使っていたものらしいが、なにぶん戦前の物なので、現在では6気圧で動かしているらしい。これ以上の気圧になったら、蒸気溜めから蒸気が抜けるようになっている。抜ける仕組みは、圧力釜と同じ。
 で、右斜めになっているレバーが、蒸気の調整レバー。まあ、車のアクセルに相当するもの。これをぐいっと引っ張れば、蒸気が送られて機関車は走り出す。ちょっと写真では見づらいかもしれないが、レバーの握りを握ると歯車がはずれ動かせるが、手を離すと歯車が噛んで動かなくなる。同じ勾配のところを一定速度で走るときなどは、手を離すことができるようになっているわけだ。
 屋根のすぐ下に見える長くて赤いレバーは、汽笛を鳴らすレバー。もちろん、走らせたときには鳴らさせてもらいました。
 上の黄色い小さなレバーが蒸気ブレーキ。蒸気圧で、車輪を押さえて速度を下げるものだ。
 黒い縦のレバーが逆転機。これを手前に引っ張ると、蒸気機関車は後進し始める。
 縦棒の上にL字のレバーが付いているのが、車で言うサイドブレーキに相当するもの。ねじになっていて、蒸気圧が無くても機関車を止めておくことができる。
 燃焼室の掃除。燃焼室の窓からチラッと見えるのは、まあストーブでもよくある格子で、燃えカスが下に落ちて、下の四角い箱に溜まる。このカスは、集めて廃棄するのも、役目のうち。
 機関車のヘッドライトも、蒸気タービンで小型発電機を回して発光している。写真は、停止後にタービンにコンプレッサーからの空気を通して、光らせて見せてくれたところ。

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