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アレクサンドル・ベリャーエフ 作
「両棲人間」

Александр Беляев
Человек-Амфибия

発掘禄3 あかね書房版のこと


2000.5.17
 上舎さんが、あかね書房版両棲人間が売りに出ているのを見つけ、なんと入手して譲ってくださいました! ありがとうございます!
 包みをあけたとたん、ああ! これですこれ! この表紙に見覚えがあります!
 そしてページをめくるのももどかしくラストをチェックし、それから後書きを読みました。確かに記憶にある後書きです。内容は、どの版だろうが両棲人間なんですから、基本的に同じはずですが、後書きに覚えがあるので、間違いありません。
 私が二度めに手にしたのは、あかね書房版だったのです。
 そして私が今でもときおり見る、水底を泳ぐ夢。それがこのあかね書房版のイラストに、強く影響されていることにも、気づきました。
 表現や書き込みが、あかね書房版の方が講談社版にくらべて、深いです。
 原書読んだわけじゃないから、講談社版の方がへつられて(略されて)いるのか、それともあかね書房版の方が書き込まれているのかわかりませんけど、もしこれから両棲人間を読みたいという方には、あかね書房版の方を、お薦めします。

 他の両棲人間のラストが、どうなってるか知りたいものです。
 いえ、さすがにもう入手したいわけじゃありませんが(・・・・・・これ以上はまったら、深みから抜け出せなくなりそうですし、そうなるわけにはいきません)、興味は深々ですから、あかね書房版と、講談社の青い鳥文庫版以外の両棲人間をお持ちの方いらっしゃいましたら、どんなラストになってるかちょっとばかし教えてくださらないでしょうか?

青い鳥版とあかね版の違い

(5/23)
 新しい方の講談社版、呼び方かえましょう。
 最大の違いは、青い鳥版のアンドレとグッチエーレが少年と少女で、あかね版では青年と娘っていうところでしょう。
 青い鳥版の方が子供向けになっています。ヒロインと悪役との結婚が、書かれてなかったりといった具合に。
 こうやってぼかされたために、話のつながりがよくわからない部分が散見されるんですが、たとえばイフチアンドルに対する検事の態度。イフチアンドルは、存在自体が神に背くってんで暗殺されることになって、だから助けようっていう味方も出てくるんですが、青い鳥版は、博士には恩義があるし悪役がイフチアンドルを手に入れたらろくなことに使わないから逃がしちゃおう、ってことで役人が助けてくれるんですが、暗殺を匂わせるような検事と神父のやりとりは残ってたりして、このシーンは後で暗殺っていう話が出てこないと何のことだかよくわかりません。他にもこういった、青い鳥版だけではなんのことやらわからないシーンがいくつか、残っています。
 難しい話や刺激が強い話は子供向けじゃないいう配慮によるものでしょうか?
 でも、最後にヒロインがイフチアンドルに会わないことに納得する理由が、
「アンドレくん、いま、とても体が弱ってるんだ。だから、もしきみに会って、ひどくこうふんしたりすると、いけないからね。これは、博士からも注意されているんだよ」
(青い鳥文庫版 原文のまま)

と言われたってだけじゃあ、子供心にも納得しかねると思うんですがどうでしょう?
 同じセリフが、あかね版ではこうなります。
「イフチアンドルは、もう空気を呼吸することができないんだ。だから、もしも、きみがイフチアンドルに会ったら、どうなると思う? イフチアンドルにとっても、それから、きみにとっても、ますますつらくなるばかりだろうさ。イフチアンドルはきみに会いたがるにきまっている。ところがそのために、水から出て、陸の上にいつづけたら、イフチアンドルは死んでしまう。」
(あかね書房版 原文のまま)

 とまあ、青い鳥版は全体的に少しづつ、けずられていますし、ヒロインとイフチアンドルとの交流も、浅く感じます。
 逆に、青い鳥版にしかないシーンもあります。
 海底の死のプールとか、タコとの決闘〜イフチアンドルの部屋といったシーンが、青い鳥版にはあるのにあかね版にはまるっきりありません。
 なくてもストーリーにはひびかないんですが、海中の描写は無いと惜しいシーンではあります。

次頁予告

 で、さらに新事実!(って、私が知らなかっただけですが)
 両棲人間の映画があるらしい!
 1998年のSF大会のレポートに、ロシアのSF映画としてビデオが紹介されたらしいんですが、それ以上のことはわかりません。詳しいことご存じの方いらっしゃいましたら、ぜひ教えてくださいませ。
 さすがに日本で公開されていないロシア映画だと、私が見る機会はなさそうですけど、気になります。(「アトランティスから来た男」みたいなんだろうか?)

 ところがなんと、DVDで発売されることに!

映画のこと