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本読む生活

あ行〜

赤毛のアン

 物心つく前に両親を失い、あちこちたらいまわしにされる辛い日々を、想像力でおぎなって生きてきた、赤い髪の孤児アン・シャーリー。
 彼女はグリン・ゲイブルスのマシュウとマリラ姉妹に引き取られることになり、本当の自分の家を持てると喜んでやってきたのですが、それは手違いだったのです。
 というところから始まる、アンの物語。
 ありきたりの小説なら、苦労と悲しみの可愛そう小説になるのでしょうが、お涙頂戴が苦手な人でも、そういう話ではないので大丈夫です。
 アンは、いろいろと想像しちゃって、おしゃべりで、ちょっといじっぱりで、大人しくしようとしていても事件を起こさずにはいられません。そんなアンが、グリン・ゲイブルスでいろんな人々に囲まれ、友だちができたり、男の子を意識(石板でどつくような)したりしながら成長していきます。
 一般書だけでなく、子供向けダイジェストも多種類出ています。また映画化、アニメ化もされていて、特にアニメは高く評価されています。
 ヘタな子ども向けダイジェスト小説を読むぐらいなら、アニメのほうがとっつきやすいかもしれません。

足ながおじさん ジーン・ウェブスター

 孤児院で育った世間知らずのジュディは、突然見知らぬ大金持ちの援助により、大学に進学できることになりました。条件は、毎月その人に手紙を書き、小説家となるための勉強をすること。
 ジュディは、乾いたスポンジのように知識を吸収し、ほんのチラリと見た影から、「足ながおじさん」と名づけた恩人に向けて、生き生きと大学生活を手紙に書きつづります。
 そのジュディの手紙が、そのままこの小説となっています。
 この小説は、病院の待合室にあったものを気に入り読んだのですが、同じ本が手に入らず、いくつも読み比べました。同じ話なのに、訳者によってずいぶん印象が違います。
 私のお気に入りは、金の星社から出ている早川麻百合さん訳のものです。
 アニメ化もされています。

いきている首 アレクサンドル・ベリヤーエフ

 大学出たばかりの女医ローランは、ケルン教授のところでやっと仕事を得ます。が、それはなんと生きている首の世話係だったのです。
 首は、最近死んだとされているドウエル教授でした。教授は死んだ後もケルン教授によって首だけの姿で内密に生かされ、研究を続けさせられ、その功績を横取りされていたのです。
 ローランは、その不正を暴こうとするのですが……。
 ベリャーエフは、病気で長期間の寝たきり生活を送った後、その経験を生かしてこの小説を書き上げました。
 昔は、将来死者をも甦らせるであろう科学としてとらえられていたこの小説ですが、今読むとこの小説のテーマは、「生の質」であることがよくわかります。
 ただ生きているだけでは、人間は幸せではないのです。
「生きている首」は、子供向けダイジェスト版で、一般には「ドウエル教授の首」として知られ、映画にもなっています。
 小学校で冒頭部を読み聞かせたところ、何も知らないローラン視点で始まることや、冒頭からケレン味たっぷりに謎と事件がからみあい、なかなかいい感じに興味をひきつけることができました。
 小学生中学年なら、自分で読むことができます。

うさんごろとおばけ

 うさぎのうさんごろは、体もでっかい、目玉もでっかい、おまけに話もでっかいんだと。

 というわけで、とっても強いうさぎのうさんごろの、昔話風の陽気な創作童話。
 強いうさぎ! うさんごろが魅力的です。
 挿絵が多く、ひらがなだけなので、小さな子でも自分で読めます。
 おばけは出てきますが、怖くはありません。

うそつきロボット

 ロボット三原則に支配されるロボットたちが引き起こす、奇妙な事件と、それに関わる人間たち。
 一般書「われはロボット」「わたしはロボット」等のタイトルで知られる、アジモフのロボットものの短編集の、子供向けダイジェスト版。
 岩崎書店の冒険ファンタジー名作選シリーズは、いずれも子供向けダイジェスト版として、よくできていると思います。
 ロジカルな話なので、幼児向けの話ではないのですが、我が家の三歳児に読み聞かせたところ、結構気に入ってくれました。
 映画にもなっていますが、こちらは原作の印象とはまるで違う、アクションバリバリのハリウッド映画だそうです。個人的には、同じアジモフ原作のロボットもの映画、アンドリューNDR114が好きです。

エルマーの冒険(三部作)

 動物たちの島に、子どもの竜が囚われている。それを知った少年エルマーは、子竜を助けるために旅立ちます。
 島では動物たちが、エルマーをはばみます。
 エルマーは子竜を助けることができるでしょうか? という話が一冊目。
 幼稚園で知名度が高かったので、幼児向けの絵本かと思ったら、小学校低学年ぐらい向けの本でした。
 どうやらアニメになってたらしいですね。知りませんでした。

大どろぼう ホッツェンプロッツ(三部作)

 冒険ファンタジー。魔法もあるけど銃(胡椒ピストル)もある。
 極悪非道な(といっても、コーヒーミルを盗んだり、人身売買をする程度。あ、極悪非道だ!)大どろぼうホッツェンプロッツから、おばあさんのコーヒーミルを取り返そうと、二人の少年カスパールとゼッペルが、知恵をめぐらし、困難に立ち向かい、冒険する話。
 途中、悪い魔法使いなどもからんできて、ドイツの現代風昔話といった感じ。
 三部作で、第二巻ではホッツェンプロッツが脱獄し、第三巻では濡れ衣を着せられたホッツェンプロッツを、カスパールとゼッペルが、助けることになります。
 小学生の中学年ぐらい向けでしょうか。
 映画にもなっています。

オペラ座の怪人

「オペラ座の怪人」には、いろいろなバージョンがあります。
 この、子ども向けオペラ座の怪人は、なんと怪人の自伝になっています。
 翻訳が忠実なものなのか、それとも子ども向けのダイジェストなのかはわかりませんが、その出生から出世、そして破滅までが、時系列順に怪人視点で語られているのです。
 スタンダードな一般書だと、シーンが飛ぶこともあるので、そのあたりがわかりづらい、という人もいるかもしれません。
 小学校で、冒頭部を読み聞かせてみました。不幸な幼少期。確かに陰湿なのですが、怪しく物悲しい雰囲気が先に立ち、うだうだとした雰囲気にはならず、いい感じでした。

おしゃべりゆわかし

 おうちのぼうやが、おねえちゃんの大事な人形を冷蔵庫に入れて忘れてしまいました。おもちゃたちが、お姫様を助けるべく冒険します。
 あかね書房の、日本の創作幼年童話の中の一冊。
 挿絵が多く、ひらがなだけなので、小さな子でも自分で読めます。