このごろ堂グッピーを飼う

グッピーを飼う

半年目の大崩壊

 あるいは、これはグッピー飼育でぶつかる最大の壁かもしんないこと。

 グッピーを飼いはじめてから、約半年。7月の頭。
 水槽全体の調子が悪いことは、わかっていた。
 そしてその原因も。
 やがて、それが起きるのではないか? でも起きないかもしれないし……。
 そう思って、現状維持をつづけていたが、やっぱり起きた。
 グッピーたちが、あれよあれよという間に、次々発病し、落ち始めたのである。
 原因が、グッピー増えすぎによる水質悪化であることは、明らかだった。
 水槽で飼える生き物は、水1リットルにつき1センチが目安になるらしい。
 60リットルの水槽であれば、4センチになるグッピーは15匹。アカヒレやネオンやコリドラスもいるから、実際には10匹だって飼えないことになる。
 しかも60リットルというのは、底砂もなにもなく、水槽のふちまで水を満たした場合なので、もっと少ないわけだ。
 が、もっとたくさんの生き物が、なんとか飼えていたので、なんとかなるのではないかと、なんとなく思ってしまったのだ。
 というか、頭の隅では「なんともならないだろうな」というのはわかっていて、けれど手塩にかけて育てた魚を自分で殺すのには、大きな抵抗があった。
 庭に置いたトロ箱に水をはり、そこに増えすぎたグッピーを移住させてはいたが、無加温のトロ箱では、冬を越せないことはわかってもいた。
 それでも、最初に買ったメス3匹中2匹という、特別愛着のあるグッピーまでふくめて、かなりの数をトロ箱に移動させたのだ。
 当然トロ箱も過密になり、そして病気は両方で蔓延した。
 結局一斉に病気になり、プラスチックケースに隔離して治療をはじめたが、そこも超過密である。もし治療を終えても水槽に戻せば、元の木阿弥だ。
 一方、スカスカになった水槽は、とたんに調子を取り戻した。
 今まで目立たなくなっていたアカヒレやネオンテトラの生態も、目に映るようになってきた。
 幸い病気が蔓延したのはグッピーだけで、あとはコリドラスが1匹、慢性的に調子が悪いだけである。
 グッピーとビーシュリンプ以外に、この水槽で落ちた魚は、まだいない。これも誤算の一つだった。初心者がふと飼い始めた魚たちである。もっと落ちて数が減るだろうと思っていたのだ。
 しかももう一つ大誤算。
 先月からあんなに落ちていたビーシュリンプが、トータルでは増えてしまっているのである。
 大きくなっても1センチぐらいの小さなエビだが、これがいつのまにか20匹を越えている。てーか、30匹近くいる。隠れているやつもいるだろうから、30匹超えているかもしれない。
 エビで30リットル、ネオンで20リットル。アカヒレで15リットル。コリドラスで10リットル。
 ……これですでに、60リットルの目安を越えているのだ。しかもエビは、魚より水を汚しやすいとも聞く。
 なのに、さらにグッピーがいるのだ。
 まずい……。まだ、かなりまずい……。
 私はおもいきって病魚を治療を中断して庭のトロ箱に放り込み、見なかったことにした。
 水槽は、なんとか落ち着いている。しかし、まだ多いのだ。そしてすぐ、さらに多くなる……。
 たとえ夏の暑さにエビが負けて、エビ20匹がいなくなったとしても、グッピーの増殖は、それを上回るだろう。
 そして増えれば水が悪くなり、水が悪くなれば病気が流行る。
 ……こうなることは、わかってたはずなんだけどなー。実のところ、途中こんなに上手くいくとは思わなかったのだ。もうちょっと生かしておくのも増やすのも難しいと思ってた。
 とりあえず、全滅しなかったことと、他の生き物が無事なことを考えると、大崩壊とまではいえないだろう。
 だが、まだ原因は残りっぱなしなのだ。

教訓
 グッピーを育てるのも、増やすのも、手順さえ守れば難しくはない。
 しかし問題は、増えてからだ。
 今もってるんだから、まだもつんじゃないかだとか、自然と減るんじゃないかと思っているうちに、大崩壊はやってくる。

 っていうか、最初は増えるの嬉しくてならないわけですが、増えたら困るようになるまでには、あっというまです。
 生まれた仔を食べちゃうという困った親グッピーも、こうなってくると自分でカタをつけてくれえるおりこうさんに見えてきます。一回の出産で1匹しかのこらなくても、グッピーは増えていくわけです。
 オスメスを分けても、当分メスは仔を生み続けます。でも分けるしかない。
 水槽内にザルみたいなもん下げて、メスを隔離。
 増えすぎて貰い手がなくて水槽もふやせなくて……。それでも水槽いっぱいのグッピーが一斉に病気になって毎日死に続けるのを見るよりは、強硬手段に出たほうがましだったかも。
 まあ今回は、全滅や他の生き物への悪影響がない時点でどうにかできたけど、死にはじめると、ますます水質は悪化して、手の打ちようがなくなるそうです。
 稚魚の死骸なんて、一匹一匹取り出せませんからねえ。
 飼育書にあるように、放置しとけば自然と増減のバランスが取れるとは限らないようです。

 んでその後、といっても崩壊してから一週間とたっていないのですが、またグッピーの稚魚が産まれました。
 多少残った若いグッピーもメスばっかみたいです。
 しかたないんで、餌を減らしています。
 生き物が増えても、餌を増やさない作戦。
 おなかが減ったら、グッピーも仔食いをはじめるかも?
 で、早々にパールグラス(水草)が丸坊主になりました。
 なになに? グリーンネオンテトラは、草食性がつよく、餌が足らなくなると水草を食べるようになる……。食べてる様子は見たことないですが。
 で、最後まで残るコリドラスの餌に群がる魚たち。(これは前からですが)
 そして争奪戦に参加するようになったビーシュリンプたち。
 もしかすると初心者は、増えやすい生き物は、やめといたほうがよかったんじゃないだろうか? コリドラスだけとか、アカヒレだけとか、ネオンテトラだけとかのほうが、よかったんじゃないだろうか? と思うこのごろです。
 コリドラスやアカヒレも、単独飼いだと増えことがあるそうですがね。
 単独飼いのほうが、環境をそれように合わせやすいし。
 っていうかほんと、この環境で増えるなんて聞いてないぞのビーシュリンプ……。