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(C)山北篤

第4章 戦闘

ラウンド


 戦闘シーンでは、敵味方の行動を細かく描写しなければなりません。そのために、ラウンドというものを設定して、その行動を判定します。1ラウンドは、実際の5秒に当たります。ただし、シーンの都合上(例えば、誰かがモノローグを呟いているシーンなど)、ゲームマスターが、ラウンドを伸び縮みさせることもあります。

 ラウンドは、以下の手順で行われます。

1.イニシアチブ決定
2.アクションポイント取得
3.回避アクションポイント決定
4.行動の順に従い行動する。

イニシアチブ決定

 リーダーの戦術能力を比べ、大きいほうがイニシアチブを取ります。リーダーの戦術能力は、以下のように決定します。戦術能力が敵味方で等しい場合、PC側が勝利したことにします。例えどんなに知性が高くても、〈戦術〉スキルの無い側は、一方的に敗北します。

 戦術能力 = 知性〈戦術〉

イニシアチブの随時決定(オプションルール)

 このルールでは、リーダーが代わらない限り、イニシアチブの勝敗が固定しています。それが嫌なゲームマスターは、戦術能力にサイコロを1個加えた値で比較しても面白いでしょう。この場合、〈戦術〉スキルの無い側には、-5のペナルティを与えます。

AP(アクションポイント)取得

 ラウンドの最初に、各キャラクターは、それぞれ決まった数のアクションポイントを取得します。アクションポイントは、通常は2~5で、平均は3ポイントです。この手順は、全キャラクター(ないしはロボット・宇宙船等。以下キャラクターと言えば、これらを含みます)同時に行ないます。
 貨物船などのように、アクションポイントの少ないキャラクターが、戦闘シーンに登場することがあります。アクションポイントが1以下のキャラクターがある場合、全キャラクターのアクションポイントを、最低が2であるように、増やします。
 3つのキャラクターのアクションポイントが、それぞれ2・1・-1だったとしたら、-1を2にするために、全キャラクターに3加えて、5・4・2とするわけです。
 つまり、鈍重なキャラクターは、相手にアクションポイントを与えてしまいます。
 プレイの便利さを考えると、それぞれのプレイヤーが、自分のアクションポイント+αくらいの数のサイコロを用意しておいて、毎ラウンド、アクションポイントの数だけ、サイコロを手に握るようにすると便利です。

回避アクションポイント決定

 イニシアチブで負けた側から、このラウンドの回避に使うサイコロの数を宣言します。当然のことですが、回避に使うと宣言したアクションポイントは、行動に使うことができません。
 例外として、回避にアクションポイントを2ポイント以上使った場合、2ポイントに付き1ポイント分の移動を行なうことが出来ます。ただし、これは純粋に移動することのみ可能で、扉を開けたり立ち上がったりすることは出来ません。つまり、これは素早く移動することで回避行動を行なっていると考えてください。

回避値 回避達成値

 キャラクターの回避値は、以下のように決まります。もしも、回避にアクションポイントを使わない場合、サイコロを振れませんので、そのラウンドの回避の達成値は、回避値そのものとなります。当然命中しやすいので、ダメージ覚悟で相手に一撃与えたい場合など以外では、使うべきではないでしょう。
 サイコロをたくさん振った場合、その最も良い目を使います。ですから、たくさん回避のサイコロを振れば、回避値はそれなりに高くなります。少なくとも、悪い目が出る確率は非常に少なくなります。
 例えば、3アクションポイント使ったとすると、サイコロ3個振ります。サイコロが、6・6・3だったとすると、6の目は振り足しです。よって、振り足しが出来るのは、サイコロ2個です。2個振ると、4・2でした。この場合、最も有利なサイコロの目は、6と4の組合わせですから、サイコロの結果は10ということになります。

        1回目 2回目  トータル   サイコロの結果
サイコロA    3      =  3
サイコロB    6 → 2  =  8     10
サイコロC    6 → 4  = 10

  回避値 = 敏捷 - 《サイズ》 + 〈回避〉

  回避達成値 = 回避値 + サイコロ

 宇宙船やロボット等で回避するの場合、キャラクターの〈回避〉ではなく、それぞれの〈操縦〉になります。パワードスーツの場合、〈パワードスーツ〉スキルで回避値を決めます。

  回避値 = 敏捷 - 《サイズ》 + 〈操縦〉

 全プレイヤーが、アクションポイントの数のサイコロを手に持っているのなら、回避に使うサイコロを「これ、回避の分」と言って、目の前に置くと便利です。
 ちなみに、このRPGでは、攻撃は非常に命中しやすくなっています。よって、真剣に回避するつもりなら、敵の攻撃のサイコロよりも1個以上大きい数を回避に回すべきです。
 標準的な雑魚のアクションポイントは2なので、回避に2ポイント回しておけば、雑魚の攻撃を恐れる必要が、かなり減らせます。
 実際に攻撃された時、回避行動の達成値を決定します。回避にポイントを回したときにサイコロを振っても良いのですが、面倒なので実際に攻撃されたときでも十分でしょう。
 幸いなことに、回避行動の達成値は、そのラウンド中有効です。ですから、何回射撃されようとも、そのラウンド中は、最初に振った回避行動の達成値で回避出来るのです。
 例として、回避値が3のキャラクターが、回避にアクションポイントを2ポイント注ぎ込んだとしましょう。ある攻撃に対し、回避のサイコロを振って4・3だったとしますと、このキャラクターは、そのラウンド中の全ての攻撃に対し、回避達成値が7となるのです。

行動の順

 実際の行動は、敏捷の順に行わます。敏捷が同じ場合、イニシアチブを取った方が先に行動できます。同じグループ内で、敏捷が同じ者同士は、話し合いでどちらが先か決定してください。
 1アクションポイント費やして、「様子見をしている」と宣言すれば、自分の順番を遅らせて、その後好きな時点で行動を開始することができます。
 キャラクターは、自分の順番が来たとき、残った(回避に使わなかった)アクションポイントの数だけの行動ができます。例えば、(残り)アクションポイント2のキャラクターは、2回行動できるわけでです。
 そして、その2つのアクション毎に、サイコロを振ることができます。逆に言うと、アクションポイントが2あるということは、そのラウンド中にサイコロを2個振れるということです。
 1つのサイコロで行動できる範囲は、2秒で出来ることを目安にしてください。10mほど走る、ドアを開けて移動する、倒れている状態から立ち上がる等が、1つのサイコロで出来るアクションです。
 アクションによっては、複数のアクションポイントを費やす必要の有る行為もあります。例えば、錠前破りやコンピュータへのアクセス等が、その例です。このような場合、必要とされる時間よりも長い時間をかければ、ロールに、サイコロを複数個使うことも可能です。ただ、戦闘シーンでのアクションポイント1ポイントというのは、2秒しかないということを考えて下さい。あくまでも、通常必要とされる時間の何倍の時間を使ったかで、サイコロが増えるのです。

 攻撃については、1アクションで1回の攻撃ができますから、複数のアクションポイントを使って攻撃すれば、費やしただけの数のサイコロを振ることができます。この場合、通常のロールと同様に、振ったサイコロの内、一番良い目を使うことが出来ます。つまり、命中しやすくなるし、ダメージ倍率も上がりやすくなります。

命中値 命中達成値

 命中値は、以下のようにして決定します。能力値は、銃器とエナジーソードと投げなら《器用》、白兵戦や格闘なら《体力》です。パワードスーツによる白兵戦や格闘は《体力》ですが、巨大ロボットによる白兵戦は《器用》です。これは、操縦システムの違いによります。

  命中値 = 《能力値》 - 《武器サイズ》 + 〈スキル〉

  命中達成値 = 命中値 + サイコロ

ダメージ倍率

 この命中達成値と、相手の回避達成値の差で、結果を求めます。その命中の度合に応じて、ダメージが変化します。

 命中達成値-回避達成値 ダメージ倍率
      ~ -1     なし
    ±0~ +4     1倍
    +5~ +9     2倍
   +10~+14     3倍
   +15~+19     4倍
   +20~+24     5倍
      :         :
 (5n-5)~(5n-1) n倍

 プレイヤーがサイコロを十分持っているのなら、何かアクションするたびに、サイコロを振っていって、サイコロが手の中から無くなった時点で、1ラウンドの行動が終わるようにすると、プレイがスムーズに進むので便利です。

個別の戦闘ルール

サイコロ転送

 戦闘シーンで、誰かのアクションが成功して欲しい場合があります。このような場合、彼のアクションに協力するアクションをすることで、そのダイスを、彼にたくさん振らせれあげることが出来ます。
 味方のサポートになるようなアクションをすれば、サイコロ1個ごとに、その味方の振るサイコロを1個増やすことが出来ます。
 例えば、味方の1人(Aとしましょう)が、敵を撃とうとしています。その時、目立つ行動をして、敵の注意を自分に引き付ければ、Aの射撃は成功しやすくなるでしょう。2アクションポイント費やして、そのような目立つ行動をすれば、Aはサイコロを2個多く振ることができますから、射撃の成功率はかなり上がるでしょう。
 ただし、このような場合、具体的なサポート行為を説明できなければなりません。「こうすれば、彼のアクションに有利になるはずだ」という説明無しに、「サイコロ転送します」と言っても、そのような行為は無駄になります。ゲームマスターは、サイコロの転送を認めてはいけません。

狙撃

 特殊な攻撃として、狙撃があります。ほとんど動かないもの、または慣性飛行をしているものに対して、時間をかけて狙いをつけた場合、命中値のサイズペナルティを減らすことができます。
 ペナルティをn減らすためには、2のn乗ラウンドかけて射撃しなければいけません。
 例えば、コロニーレーザー(サイズ14)で狙撃する場合、2の11乗ラウンド=2048ラウンド=10240秒=約3時間かけて射撃すれば、サイズペナルティを11減らすことができます。つまり、わずか3のペナルティですむわけです。
 サイズペナルティをマイナスにすることも可能です。

多数のターゲット

 ターゲットが狭いエリアに密集している場合、その中のどのターゲットに当たってもいいという条件で射撃すると、命中ボーナスが得られます。数が、2倍になるたびに、命中に+1のボーナスが得られます。
 つまり、2人なら+1、4人なら+2、8人なら+3のボーナスです。

複数で操縦している場合

 宇宙船などのように、操縦士・探知士・砲手など、複数で運用されている場合、操縦者のアクションポイントを、全員で使います。
 つまり、操縦者のアクションポイントが2で、2ポイント回避に使ってしまったとしたら、もはや砲塔は撃てません。正しくは、撃つには撃っているのですが、回避行動が急なために、命中しないのです(有効射撃が撃てないと考えてください)。
 砲塔にそれぞれ砲手が居る(もしくはコンピュータ制御されている)場合、砲塔に1ポイントのアクションポイントを回したとしたら、砲手の居る全ての砲塔で、1ポイントのアクションポイントを使用して射撃が出来ます。

負傷値


 負傷値は、以下の計算式によって求められます。ダメージ値は武器によって決まっています。耐久値はアーマーと能力値から計算されます。この値だけ、キャラクターの負傷レベルが上がります。
 負傷値は、切り捨てです。

  負傷値 = (ダメージ値 × ダメージ倍率) ÷ 耐久値

ウェポン

 武器には、エネルギー(レーザーや荷電粒子など)をぶつけるタイプと、物理的ダメージ(徹甲弾や爆弾など)を与えるタイプに別れます。
 エネルギー兵器をB型、物理ダメージ兵器をA型と呼びます。
 詳しくは、表を参照してください。
 「スキル」は、その武器を扱う場合のスキルの名前です。
 「サイズ」は、命中値へのペナルティです。サイズがマイナスの武器は、命中値が上昇します。
 「種別」は、ビーム兵器(B)か、物理ダメージ兵器(A)かを示します。
 「ダメージ値」は、前項のダメージを決定するために必要な値です。
 「弾数」という項目は、一度に装填できる弾の数です。指定の無いものは、ほぼ無限に撃てるものと考えてください。弾が無くなったら、弾装を交換しなければいけません。弾装の交換は、1アクションです。ただし、リボルバーのような武器では、3アクション必要です。
 「レート」は、1ラウンドに撃てる最大数です。もちろん、1回撃つ毎に、1アクションポイント費やします。
 表の中に、汎用火器と汎用白兵戦武器という項目がありますが、これは、ゲームマスターやプレイヤーが、新たな武器を設計する場合の基準です。装弾数が少なかったり、レートが低い武器は、ダメージ値にプラスします。

アーマー&乗り物


 スペオペヒーローズでは、アーマーも乗り物も、全て同じルールが適用されます。つまり、宇宙服を着ているのも、巨大ロボットに乗っているのも、宇宙船を操縦しているのも、全て同等です。
 それらは、装甲(B装甲とA装甲)を持ち、《器用》と敏捷に修正をかけます。
 乗り物は、その他に《体力》と《サイズ》を持っていることが、アーマーとの違いです。パワードスーツは、アーマーと乗り物の中間で、《体力》だけを持っています。もちろん、持っていない能力値は、当人のものを使います。
 「スキル」は、回避値を決定するためのスキルです。指定の無い場合は、〈回避〉スキルを使います。
 「B装」「A装」は、それぞれビーム兵器と、物理ダメージ兵器に対応する装甲の厚さを表わします。耐久値を決定する際に、使う値です。
 「体力」は、そのメカのパワーと丈夫さを表わします。単なるアーマーは、《体力》などありませんから、アーマーを着ている当人の《体力》を使います。
 「器用修」は、着ている(操縦している)人間の《器用》への修正値です。操縦士と砲手が別な場合は、砲手の《器用》に対する修正だと考えてください。
 「敏捷修」は、着ている(操縦している)人間の敏捷への修正値です。操縦士と砲手が別な場合は、操縦士の敏捷に対する修正だと考えてください。
 「サイズ」は、乗り物のサイズです。アーマーやパワードスーツは、それを着ている当人の《サイズ》に同じです。

宇宙船


 宇宙船には、非流線型・流線型・航空機型の3種類が存在します。このうち、大気圏内に突入できるのは、流線型と航空機型の2つです。また、大気圏内で戦闘機動が行なえる(回避にアクションポイントを費やせる)ものは、航空機型のみです。ただし、価格は非流線型が最も安く、流線型・航空機型の順で高くなっていきます。
 価格表に載っている宇宙船は、全て流線型です。非流線型の宇宙船の価格は1割引、航空機型の宇宙船は1割増だと思ってください。
 発掘宇宙船というのは、オリジナルジャンプドライブを積んだ宇宙船のことです(第11章参照)。決して、船体全てが発掘されたものではありません。
 オリジナルジャンプドライブを積んだ宇宙船が、何故優秀かと言うと、コピードライブを動かすためには、船体の半分を占めるほどの、巨大なパワープラントが必要になるからです。それに対し、オリジナルドライブでは、ほとんどパワープラントを必要としません。生命維持装置に使われるパワープラントの余剰エネルギー程度で、充分に動きます。
 つまり、発掘宇宙船は、2倍のサイズの宇宙船と同等の火力と装甲を持つことが出来るのです。

巨大ロボット

 スペオペヒーローズには、巨大ロボットも存在します。けれども、ゲームマスターが、巨大ロボットは世界観に合わないと考えるなら、その世界には巨大ロボットは存在しないことにしても構いません。
 要するに、巨大ロボットを好んで作る星系もあるけれども、その数はそれほど多くないと考えてください。


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