ヴィエ メニュー
戦士ヴィエの冒険
細江ひろみ(M−ヴィエ)
2005.1〜
すすり泣きの森
RPGに足を踏み入れてから、わずか2日。寝てもさめてもRPGの事を考え続け、興奮状態のまま、またもマスターの姿を見つけたときに、「先日の、いきなり始まったRPG」について、どんなに楽しませてもらったかを、話した。そのとき、何を喋ったのか、覚えてはいないが、うまく説明できなかった事だけは、覚えている。
今までにRPGほど、興奮したことはなかった。そんな事を喋ったような気もする
すると、じゃあ、これから続編をやるかい?とゆう事になった。私がねだったようなものである。こうして二度目の突発セッションが、その場にいた人を巻き込みながら始まった。ちなみに、セッションとゆうのが、一回のRPGのゲームを現わす単位らしい。
まず、マスターのVICONさんから、ルールの説明がある。RPGのルールのことを、システムとゆうのだそうだ。
PCの職業を、戦士、魔術士、盗賊、僧侶、巡礼、狩人から選ぶだけで、ルールは知らなくてもよい。とゆうのが、ルールの説明の全てであった。いったい、マスターの頭の中には、何が詰まっているのだろう。
わやわやと、PCの名前と職業がきまってゆく。ルールはのちに、「マスターの愛と独善によるルール無用のセッション」とゆう簡潔な言葉で現わされるようになった。
プレイヤーは前回よりもぐっと増えて、7人。PCを紹介すると、盗賊ラディアン、狩人カーノ、傭兵戦士ザム、魔道師グゥェン、尼僧マリアンヌ、戦士ネイディア、と私の戦士ヴィエである。ザムと私のヴィエだけが2度目の参加となった。
次に、魔術士と、僧侶が使える特別な力について、説明がある。僧侶は祈れば、もしかすると神が願い事を聞いてくれるかもしれず、魔術士は、魔法が使えるのだそうだ。
(VICON)スリープ2回、サラマンダー2回、ライト2回、リードランゲージ、デテクトマジック、マジックシールド1回ずつ。これが1日に使える魔法。
うーんと、前回より、ずいぶん魔法が多くなっている。ライトと、デテクトマジックは、前回バスクが使っていたのを、覚えているけれども、他のはいったいなんだろう。
スリープは眠りの魔法だろうと、見当がつくけれど・・・。
まあいいや、戦士のヴィエには、関係ない事だ。ヴィエが知らないことを、今私が知る必要も、ないだろう。
そして最後に持ち物を好きかってに申請する。もちろん戦士は好みの武器、狩人は吹き矢、などとまっとうな物も申請されるが、
(強盗ラディアン)赤いハチマキ
うあー!派手だ!派手な強盗だなー。まるで姿や強盗のポリシーが、手に取れるようじゃないか。こうやって、小道具一つで、PCの性格を現わしてしまうって、いいなー。戦士のヴィエにも、ヴィエらしい小道具を、持たせてみたいものである。いったい、ヴィエには何が似合うだろう。
そして、持ち物が決まると、各PCがちょっとした自己紹介をし、そしてついに冒険の始まりである!。ドキドキしちゃうなぁ。
(VICON)あなたがたはまっくらな穴の中にいます
(VICON)みんな、旅の途中で山賊に追われて逃げていたら、いつの間にか洞窟の中にまぎれこんだようです。
と、この瞬間、このマスターの状況描写をきっかけに、それぞれのPCに命が与えられたようだった。それぞれのPCはみずからの言葉で現在の状況を嘆きはじめた。それによって、PC達の性格がはっきりと決まっていく。
最初は独り言だったPCの言葉は、すぐにPCどうしの会話にかわっていく。私もそのPC達の作り出す雰囲気にとけ込み、すぐに戦士ヴィエとして会話に加わる。
一端落ちついたところで、まずこの真っ暗闇をどうにかしようとゆう事になり、さっそく魔道師グゥエンが「ライト」の魔法を、自分の杖に掛ける。
前回のバスクの「ライト」の使い方とは対象的に、派手さはないが、必要を満たした使い方だ。それから、グゥエンはその明かりのともった杖を掲げあたりを見回すと、マスターに宣言した。
そうして、あたりが見回せるようになると、ヴィエ達が落ちた思われた穴は、大きなすり鉢状の窪みらしいことがわかった。なんとなく、巨大な蟻地獄の底を想像させる。このままぐずぐずしていると、大きな蟻地獄がガバア!っと足元から出てきそうな雰囲気を、マスターが演出しはじめた。すり鉢状の壁はさらさら崩れて登れそうにないとゆうし、足元も砂ばかりで、脱出の役に立ちそうなものは何もない。ただ、背丈よりすこし高い位置に、横穴が口を開けているそうなのだ。
マスターも、足元が下がっているような気がするとか、さかんにヴィエ達を恐がらせるようなことを言う。これは急いであの横穴に潜り込まないと、足の下からガバア!と蟻地獄がくるに違いない。しかし横穴も、なんか出そうな気がしないでもない。
さすがに二度目の冒険となると、私も前回のごとく頭に血が登るような事はなかった。そう思っているのは、私だけかもしれないし、まだまだセオリーとゆうものを、知らないのだろうけれども、私としては冷静に考えたつもりだ。
どこまで冷静に考えたのか、どこまでを私が考え、どこからをヴィエならこう考えるだろうとして考えたのかは、私にもよくわからないが。
まず、ヴィエは戦士で、みんなを守る立場にある。ヴィエが戦士として、みんなと一緒に冒険をしている以上、ヴィエの実力はどうあれ、ヴィエはその剣でもって、みんなを守らなければならないのだ!これは、ヴィエの思いこみ。
とりあえす、自分達の足の下に、危険がせまっているらしい、グズグズはしていられない、とゆうのが、1つめ。
しかし、ここから逃げるには、横穴に入り込むしかないのだろうけれども、横穴の安全は、誰かが行って確かめなければならない、とゆうことが2つめ。
もし、あの横穴に何かがいるのだとしたら、それを退治するのは、戦士の役目だ!とゆうことが3つめ。
横穴のあるのが、ヴィエ達の頭より、すぐ上なのだとしたら、ザムの背中を伝いさえすれば、ヴィエが横穴に入るのは、ものすごく簡単だとゆうことが、4つめ。
こんなふうに考えていたのは私だけれども、それだけわかってしまえば、ヴィエはすぐ行動に移った。それ以上に、ヴィエとしては、「あたしがみんなを守るんだ!あたしは戦士なんだから!」とゆうことだろう。このヴィエの考えには、いっさいヴィエの実力なんてものは、入ってこない。これが無謀と呼ばれるゆえんなのだろうなあ。
それはおいといて、今ならこうゆうシーンは、盗賊に任せて置くのがセオリーだとわかる。なぜならば、この未知の横穴に存在するかもしれない脅威は、怪物だとは限らないからだ。罠かもしれないし、ガスかもしれない。剣ではどうしようもないかもしれないのだから、ここはまず、盗賊に様子を調べてもらうべきだったのだ。私も、冷静に考えているようで、まだまだ経験不足であった。
結局、横穴には危険はなさそうだったので、あたりを見回すのもそこそこに(やっぱりこれは危ない、ちゃんとあたりを見回して、安全を確認するべきだった)、ロープ(またもロープの活躍。敵を転けさせるだけでなく、ちゃんとロープらしい使い方も出来るのだ)を使ったり引っ張り上げたりで、あっとゆうまに全員横穴に入ることができた。横穴については、心配するほどのこともなかったようだ。
横穴は深く奥へと一本道になっていた。幅は3人並べるくらい。そこで隊列を組んで進むことになる。
あのRPG紹介の記事には必ず書かれている「隊列」だあ!と感激、するほどではないが、とにかく「あのRPGの隊列」である。前回も隊列を組んでいるのだが、人数も少なかったし、それに興奮しすぎてそれどころではなかったので、今回やっと「隊列」を実感することができた。
RPGの解説書には、必ず、ダンジョンに入るときは、隊列を組まなければならない、と書いてある。それが実用的だからなのか、それともそのRPGのルールを適用するためなのかは、よく知らないが、まず、先頭と後尾は戦士で堅め、真ん中に体力のない者を集め、真ん中の者が、明かりを持つのが、セオリーなのだそうだ。
少なくとも、怪物の出てこない現実の洞窟探検では、先頭を歩いているのは、カメラマンであろう。後ろ向きに歩いて、よくこけないものだ。
とりあえず、ヴィエも前回、みんなの一番後ろも、戦士が守らなければならないのだと、学習したことだし、自分から「後ろを守る」と、言い出すことにした。こうやって、ヴィエも一歩づつ成長してゆくのだわ!レベルが幾つかなんて、ヴィエには関係ないのだわ!って、PCが自分のレベルを意識できるとは、考えがたいけれども・・。
そうやって、PCどうしで話し合い、(けっしてプレイヤーどうしではないのだ)並び方決めて、そうやって洞窟を進んでいったけれど、残念ながら、何も出てこなかった。
ここで「残念ながら」と考えてしまうのは、戦いたがっているヴィエの考えなのか、それともプレイヤーの無責任なのかは、私は知らない。
そのかわり、向こうの方に、キラキラと輝く物が、見えてきたそうだ。見えてきたそうだ、とゆうのは、ヴィエの背丈:マスターに申告しわすれていたけれども、わりと低いヴィエの背丈で、前にいろんな人がいたら、その先にある物など、見える筈もないだろうから、ここからではヴィエには見えない、と私は判断してしまった。こうゆう時には、普通はヴィエにも見えるかどうか、マスターに確かめるべきだったかもしれない。
ヴィエがどう考え、どう行動するかは、プレイヤーの私の自由ではあるけれども、ヴィエに何が見えたか、ヴィエに何が出来たかは、マスターが判断するのだろうから。
ここで、まずラディアンが、その「キラキラ輝く物」に近づいていった。前回のウォールと同様、こういった「新しい状況」を調べることが、盗賊の役目だと、ラディアンはわかっていたからだろう。ラディアンは、罠に警戒しつつ、その輝く物に、近づくと、マスターに宣言した。自分の行動を、細かくマスターに申請することが、RPGの基本なのだろうか。
しかし、そんなことを、全然わかっていないのが、当時のヴィエ:ヴィエのせいにばかり、していちゃいけないなあ、全然わかっていなかったのは、私だったのだから。
それでも、ヴィエだって、こうゆう物が出てきたら、やっぱりじっくり見たい。だって、ヴィエは冒険をはじめたばかりの15歳の女の子なんだから!。ワァワァ!ヴィエの場所からは、何も見えないよお!私も見たいよぉ!とゆう気分で、ヴィエは勝手に前に出ることにした。
成長したとは思っていたけれども、やっぱり、一回の冒険をしたくらいでは、性格は治りそうにないらしい。
こうやってバタバタしているうちに、そのキラキラした輝きが、金貨の山と、そこに突き刺さった剣だと、みんなにも見えた。と、マスターが宣言した。
ここで、狩人のカーノが、あたりを調べると言う。それにたいしての、マスターの返答は、ここに最近人が入った形跡はない、とゆうものであった。
調べる人の能力。ラディアンは強盗で、カーノは狩人だ。PCが職業として申請した能力で、調べた時にわかる事柄が、変わってくるのだそうだ。たとえば、魔術士がこの場所について調べれば、わかるのはこの場所と、魔法的なものとの関係なのだろう。
特にこうゆう意味ありげな品は、疑ってかかるのが常識らしい。魔術士がこういった時に、ちゃんと魔法の影響について調べるのは、きっと戦士が、剣でもって仲間を守るのと同じように、魔術士の義務なのに、違いない。
私がこんなことを考えるまでもなく、グウェンは、魔術士としての自分の使命を、知っていた。そしてグゥエンが「デテクトマジック」を唱える。(この魔法を掛けると、あたりに魔法の影響があった場合、光によって、反応するのだそうだ)すると予想どうり、グウエンの魔法によって、剣と金貨が輝きはじめた。ただし、別々の色でだ。
金貨は、赤く輝きだした。そして、剣は金色に・・。何か違いがあるのだろうか。前の呪われた指輪は、赤く輝いていた。そうすると、この金貨も呪われているのかなぁ。
マスターは、赤い輝きが危険で、金色は古代の龍と関係のある、良い魔法だろう、と説明してくれた。呪われた金貨と、よくわからない魔剣だ。
そんな法則があるのか、まあいいや、ヴィエがそんな魔法の事を、知っているとは、思えないし、前回の呪われた指輪と同じ色に光っている金貨に触らなければ大丈夫だろう。龍だなんだの魔法は魔法使いにまかせておいて、戦士のヴィエが興味を持つのは、剣そのものだ。(単に、キラキラきれいだから、興味を持ったのだとの、外野の声あり)自分の剣を抜いて、その魔剣をツンツンしてみたくなった。ツンツンする程度なら、危険もないだろう。
一方、グゥエンが、「リードマジック」を使う。すると、知識の精霊が、この魔剣に刻まれている古代の文字を読み上げるのだそうだ。そうゆう魔法だったのか。なかなか便利な魔法だ。この精霊が読み上げることの出来る文字が、古代のものに限らないとすれば、いろいろと使い道があるかもしれない。たとえば、目の見えない人が、本を読むことも可能だろうし、ちょっとした台本を読ませて、誰もいないところに、誰かがいるように見せかけることも、出来るかもしれない。
魔法のことは魔術士に任せておくことにして、ヴィエは勝手に金貨に刺さった剣を、ツンツンするとゆう無謀を、実行することにした。
しかし後々になってみれば、前回の頭に血が登ったヴィエも危険だが、今回の恐いもの知らずのヴィエも、危険であることには大差ない。
それでどうなったかとゆうと、魔剣をツンツンしたとたんに、その回りの金貨から、怪しいモヤモヤとした物が沸き上がってきた。金貨になんか、触ってないよぉ!と、うろたえても後の祭。沸き上がったあやしいモヤモヤは、次第に悪鬼の姿に、形を代え始めたのである。
ちなみに、グウェンの魔法に答えて、精霊が読み上げた古代の文字は、
龍の友なるものよ。
我が力とならぬ。
勇者よ、
この剣をとれ
であったが、私はそんなことを気にする余裕はなかった。
悪鬼が、ヴィエに向かって牙を剥きだしたからだ。もう、のんびり考えている暇もなくなった。仲間が、「その剣を取れ!」と叫ぶのを聞いて、とっさに金貨の山から、魔剣を抜くことに、してしまった。
なぜ、仲間が、ヴィエにこの魔剣を、抜かせたかったのか。それには、そのころの私が知らなかった、ある事のためだ。たとえば、「霧使いユー」とゆう女性PCが、後々仲間に加わる事になったのだが、このPC、プレイヤーが女性PCだと申請しなかったので、途中までみんな、男性PCだと思っていた。だが、そのPCの物腰が、私には女性的に見えたので、「マスター!私はユーを、女みたいな男だと思っていましたぁ!ニアピン賞ください!」と言うと、他のプレイヤー達が口をそろえて言うには、「なんて無謀なんだ!そのマスターの出すアイテムには、ろくな物がないんだぞ!」
アイテムとゆうのは、そんじょそこらに転がっている物ではない、特別の品物のことだ。ろくでもないアイテムとゆうのは、役に立ちそうで、実際に役にたつけれども、ものすごく厄介なこともオマケに付いてくるような、品物だそうだ。
聞いた話では、ハンドレットダイスソードとかゆう、ものすごく攻撃力が大きいだけのアイテムも、ろくでもないアイテムと呼ばれるようだが、そんな単純な物は、このマスターは出しはしないが、代わりに、ものすごくひねくれた物を、RPGの中に登場させると言う。いったい、どんな品なのだろう。たとえば、ハンドレットダイズソードなんて、どうだろう。ソードで切りつける度に、大豆が100個ほど、飛び出してくるのだ。もちろん、痛くもかゆくもないだろうが、飢饉の村では、宝石以上に価値があるに違いない。しかも、鬼を相手にするときには、鬼に対してかなりのダメージを与えられるのでは、ないだろうか。節分向けのアイテムだな。(ないない)
もとい、じっくり考える間もなく、金貨から魔剣を引き抜く。おっと、ヴィエはこの剣を使えるだけの力があるのだろうか。マスターに確かめてみる。
(VICON)最初は重い
この「最初は」とゆうところが、魔剣の魔剣らしいところだったことに気づいたのは、ずっと後になってからだ。その時は、金貨から引き抜くのに、余分に力が必要だったのだろう。くらいにしか、考えなかった。そして、それっきり忘れてしまっていたのだ。
そして、魔剣を引き抜いてしまったからには、もう悪鬼に切りかかるしかない。しゃにむに剣を振るう。すると、あたりが閃光につつまれ、悪鬼は消えてしまった・・・。
はっきり言って、拍子抜けだ。どうやら、ヴィエの手にしている魔剣が原因らしいのだが、「あれ?」ってなもんである。そして、マスターは「ヴィエは手にした剣が非常に軽く感じられる」と、宣言した。
このことに、大きな意味があることを、まったく気づかなかったのだから、自分で自分にあきれてしまう。しかも、私が考えたのは、「なにやらいい剣が手に入ったし、荷物になるから前のは捨てちゃおうか」であったのだから、のんきなものである。
これは、剣を威力の強いものに、どんどん取り替えていくことが予定されている、コンピュータゲームのRPGの影響だろう。しかし、普通はそんなに新しい武器とゆうものは、手に入らないのだそうだ。
もう一つには、このマスターが出してきた、未だ正体不明の魔剣を、そうそう振り回されては、何が起こるかわからない、とゆうこともあったのだろう。回りがいっせいに、やいのやいの言い始めた。
(VICON)武器は高いよ。
(尼僧マリアンヌ)「もったいない 神は浪費をきらいます」
(傭兵戦士ザム)「その武器は余り使わん方がいいかもな…」
(強盗ラディアン)「肝心かなめの時以外は、使うんじゃねーぞ」
ふーんそうゆうものなのか。では大事に使う事にしよう。今までの剣も、この新しく手に入れた魔剣も、どちらにしろ普通サイズの剣ならば、ヴィエが使うときは両手で振り回さなければならない筈だ。どちらか片方しか使えないならば、何が起こるかわからない、魔剣の方を、予備にしておこう。腰に剣を2本では、ちょっと歩きにくそうだ。魔剣は、背中にしょっていったほうがいいだろう。
こうして、呪われた金貨を残して、ヴィエ達はこの場所を去る事になった。
いつのまにやら洞窟を抜け、薄気味悪い森の中を歩いている。狩人のカーノが、バンシーの棲む「すすり泣きの森」と呼ばれる場所だと気づいたと、マスターが宣言した。
マスターがなにやら不気味な雰囲気を、盛り上げ始めた。かさかさと薮が揺れ、途切れ途切れに話声が聞こえる。これが、バンシーだろうか。バンシーとは、泣き叫びながら、飛び回る女だそうだ。その声を聞くと、気が狂うこともあるとゆう。
しかし、今聞こえるのは、こそこそした話声だけだ。叫び声を上げているのは、尼僧のマリアンヌ。それをたしなめているのは、グゥエンだ。
(尼僧マリアンヌ)「きゃああああああ
(魔道師グゥエン)「マリアンヌ、すこししずかになさったら?」
マリアンヌは、何事にも悲鳴を上げるかよわい女性、とゆう性格を設定してあるのだろう。何かあるたびに、キャーキャー悲鳴を上げている。一方グウエンは、不気味な雰囲気などものともしない。そして、こうした「気味の悪い雰囲気」に動じないことで、グゥエンとゆうPCの回りに、神秘性を、かもしだしている。女性PCの個性も、いろいろな演じ方があるものだ。二人とも、それぞれの女性の色気とゆうものがある。
一方ヴィエは、女性PCではあるが、色っぽさとは無縁だ。これだけ無謀をやっていれば、色っぽさ以前の、ガキとゆうイメージしか、回りにあたえないだろう。しかも、さっき魔剣に手を出して、妙な目にあったばかりだとゆうのに、全然懲りていなかった。声の主でも狼でも、なんでもいいから出ないかと、剣を振り回してみる始末。いくらなんでも、ここで魔剣を振り回しはしなかったが、無謀な事にはかわりがない。
一方マスターは、どんどん状況の不気味さを、強調しはじめている。ヴィエ待望の?狼の声も、聞こえてくるとゆう。このままでは危険なので、固まって火を焚こうとゆうことになった。
さて、焚火をすると言っても、森の中だ。中りの木の茂り具合などを確かめておかないと、森が火事になりかねない。逆に、燃やす物は生木だけとゆう事もありえる。薪を拾い集めるにも、あまり離ればなれになってしまうのも、物騒だ。
どうにかこうにか、薪を集めたが、中りは真っ暗。最初にグゥエンが灯した、魔法の明かり「ライト」の力も、既に消えてしまったらしい。もちろんマッチなどないから、火を付けるのも、大変だ。
(魔道師グゥエン)だれかー、火打ち石ぃー(^_^;)
(見学)(お前さんは、魔法使いじゃろ(^_^) グゥエン)
(魔道師グゥエン)よい魔道師は魔法のむだづかいはしないものです)
おお、これはカッコいい。魔術士たるもの、魔法で薪に火を付けるのは「サラマンダー」とゆう魔法を使えば、簡単なのだそうだ。サラマンダーは、火の精霊で、トカゲの姿をしているとゆう。普通は、攻撃用の魔法だそうだ。だが、ここで簡単に魔法で火を付けてしまっては、グゥエンの神秘性は、保てないだろう。こういったグゥエンの態度が、グゥエンをグゥエンたらしめているに、違いない。
そして、火打ち石で薪に火を付ける。のは無理だ。まず、よく乾いた木の葉と、小枝を集める。よく空気が通るように気をつけながら、小枝と木の葉を山にする。次に、2、3枚の木の葉に火打ち石を使って、火を落とす。それを、フーフー吹いて、やっと煙の一筋も立つようになってから、小枝と木の葉に移す。それからも、一生懸命空気を送り、木の葉が燃え始めたら、そんなもんはすぐ燃え尽きてしまうので、いそいで小枝や木の葉を、補充する。補充する小枝をどんどん大枝にして、最後に薪を入れる。そして、やっと焚火になるのだ。ちなみに、木の葉に火を付けるのは、簡単だ。木葉の火は、こっぱの火といって、簡単なことの代名詞とされてきた。今でもこっぱの火が逆転して、火のこっぱ:へのかっぱ:として、簡単なことの、代名詞とされている。
それはそれとして・・・いや、先に言っておく。私はこんなふうに、火打ち石から焚火を起こしたことは、実生活でもRPG中でも、一回もない。途中のさまは、全部想像だ。
こうして、焚火に火を付ける。物事には両面の意味があるとゆうが、まさにその通りだ。焚火は、狼よけにはなるかもしれないが、当然それは、我々がいることの、目印ともなってしまった。
先ほどから、ボソボソと聞こえていた、声の主も、我々の事に注意を向けたようだった。「・・・森の敵か?・・・・」声はそう聞こえる。すかさず、ラディアンが「違う」と答える。
(傭兵戦士ザム)(強盗が言っても説得力ねーよ)
(強盗ラディアン)(初対面でわかるもんかい)
ヴィエはヴィエで、「出てこい!」とか叫んで剣を手にしたが、みんなに止められてしまった。とにかく、出てくるものは、全部敵だと思っているのだから、思い返して、我ながら自分の無謀さに、あきれてしまう。
しかし、なおもマスターは、恐怖感をの演出を、止めない。
狼の声は、悲鳴へとかわり、静寂が訪れた。
あまりの恐ろしさのためか、またもマリアンヌが悲鳴を上げ、マリアンヌの信ずる大地の女神「ナルヴァ」に助けをもとめた。このRPGの世界の中には、さまざまな神がいるのだそうだ。人間の想像力が許す、ありとあらゆる神、と言った方がいいかもしれない。幸いなことに、今の所私(私のPC)は、掃除掃除の神様とはつきあった事はないが、平然といけにえを要求してくる神も、いるそうだ。
マリアンヌが、この世界では、最も普遍的な神の一人(だいたい、RPGにおいては、多神教が、一般的だ)である、ナルヴァの名前を呼んだ時、それが、意外な効果を、もたらしたのだ。
まず、マリアンヌの手から、キラキラとした光が放たれ、森の中の声の方に、ただよっていった。なんとなく、日の光を浴びた金粉が空中を流れて行くさまを、想像する。美しい光景だ。だから「うわぁ!」と、ヴィエには感嘆の声を上げさせる。
それにしても、こんな魔法の話は、聞いたことがない。これが僧侶の力とゆうものだろうか。
そして、森の中のコソコソ声の主も、マリアンヌの口から出たナルヴァの名前に、態度を変えたようだった。「・・・・ナルヴァの使者か?・・・」と、声が我々に訊ねる。マリアンヌは、さっきまでキャーキャーと叫び騒いでいたのも、嘘のように、しっかりと、その声に、そうだと、答えた。
もちろん、参加者の互いの姿も見えないし、声も聞こえないが、その様子はその語り口から、手に取るようにわかる。きっと、みんながPCとして考え、PCとして行動しているからだろう。マスターの作り上げた世界を、全員で共有していると、言えるかもしれない。簡単に言うと、全員このゲームに、ノっているのだ。だからこそ、たった一つのセリフで、そのPCの全てを、伝えられるのだと、思う。
そして、とうとう、声の主が私たちの前に姿を現わした。あれ?なんだ、幽霊じゃないや。
HOME
次へ