(C)hosoe hiromi
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戦士ヴィエの冒険
細江ひろみ(M−ヴィエ)

2005.1〜

エルフは戦わない

 魔物と戦うことが決まったら、その魔物が、どんな魔物なのか、知らなくてはいけない。しかし、さっきまでいた洞窟の中で、今床がどうなっているか、なんてことは、マスターに聞けばいいのだが、目の前にいるわけでもない、魔物については、マスターは教えてくれない。こうゆう時は、魔物について、知っている人に聞けばいいわけだ。

(強盗ラディアン)「...魔物の正体。見当がつくかい?」 モル

 こうしてラディアンが情報収拾につとめている間、ヴィエは剣を手に回りを警戒!してたんなら偉いんですが、モルの回りをうろうろして「へぇーこの人がエルフなの?あたし、初めて見ちゃったぁ」とか言っていた。えーい!我ながら役に立たない奴だ。
 今までエルフ達が、どうやって魔物を撃退しようとしたのか、どんな被害が出ているのか、そんな事も知りたかったのだが、モルも魔物について、それほど知っている訳ではなかった。撃退どころか、エルフ達は武器を手にすることもしなかったのだ。

(VICON)「わしらは神との約束にしたがい、金属と全ての武器を捨てたのじゃ」

 あの洞窟に、金貨や剣があったのは、エルフが捨てたものだったのかなぁ。でも、捨てた武器が剣一振りとは、考えにくい。神の契約で捨てたものだから、あの金貨は呪われていたのかなぁ。でも、剣は魔剣だけれども、呪われてはいないみたいだし。
 それはそれとして、このエルフ達もふがいない。ヴィエ達みたいな通りすがりの者の力をあてにして、自分達は武器すら手にしないなんて。少しは努力するべきだ。戦争を放棄した日本にだって、自衛隊があるんだぞ。違法かどうかは言い争われているが、あるもんは、ある。自衛隊は、武器だって実用かどうか知らないけれども、持っているんだ。
 あれ?こんなのは、ついこないだまでの私には、無縁の考え方だったはずだ。いままで私が今のヴィエのような立場になった事がなかったからかもしれない。それにしても、自分ではもっと、おとなしい性格だと、思っていたけどなあ。家の中で魔術の書を紐といている方が、剣を振り回しておお立ち回りをしているよりも、私に近いと思っていたけれども、本当は違ったのかなあ。それとも、私の性格が、どんどん変わっているのかなぁ。
 モルに連れられて、エルフの集落に移動することになったのだが、未だネイディアはモルの話を、疑ってかかっているらしい。いや、エルフだとゆうことさえ、モルが言っているだけかもしれないし、エルフの外見を確かめても、エルフについての基礎知識を、PCが知っていなければ、何にもならない。しかも、それを知っていてすら、「何か」がエルフに化けていることすら、あるかもしれない。モルを疑うような要素は、今の所ないのだが、信られるような、決定的なものない。しかし、そのころの私は、世界の(マスターの)善意を、無邪気に信じていた。
 と、ここまで書けば、このモルと名乗るエルフが、実は・・・。などとゆう事態を、想像させてしまうかもしれないが、実はモルは、彼が名乗った通りのエルフだったのである。
 エルフの集落に到着する前に、事件は起こった。ガサガサとゆう音。何かがあがくような音。モルが「奴だ」とささやく。
 全員が、素早く警戒体制に入る。別に打ち合わせたわけではないけれども、これだけピタッっと、行動がそろうと、今まで一緒に冒険してきた成果があがったのだなーと、気持ちがいい。
 そして、悲鳴が聞こえてきた。エルフに新しい犠牲が出たのだろうか。エルフらしき人影が、喉を掴み上げられて、空中に引きずり上げられてゆく。

(VICON)モル「ささ、あやつを。あの者が目印です」
(尼僧マリアンヌ)「それでは わざとつかまったのですか?
(VICON)モルは悲しそうに尼僧をみる。
(尼僧マリアンヌ)「なんということを なさるのです!」

 このエルフ達は、仲間に犠牲を出すことによって、姿の見えぬ魔物がどこにいるかを確かめ、どうにかしようとしたらしい。しかし、どうにかって、どうしようと、したのだ?。彼らは武器を持とうとしない。今ヴィエ達がここにいなかったら、いくら仲間に犠牲をだしてまで、魔物の位置を確かめようとも、手の打ちようがなかっただろうに。それとも、生けにえのつもりなのか?
 自らは武器を持たないけれども、他者が武器を持つことは、いっこうにかまわない。武器をもってどうにかしなければならない事態には、他力本願でかまえる。そんなエルフに、イライラしたものを感じていたが、こんな無意味な犠牲を出す計画を実行するエルフに、本気で腹が立ってきた。こうゆうのは、計画とは言わない。無計画と言うのだ。
 こんな無計画を、モルは容認したのだろうか。だとしたら、モルはこの犠牲者を死においやった者の一人とゆうことになる。

(戦−ヴィエ)「自分が捕まれ!」 モル

 そう言い捨てて、つかまったエルフを救助するために、魔物に戦いを挑んだ。
 カーノがロープを投げて、空中のエルフに絡ませようとしたけれども、なにしろ森の中なので、木の枝が邪魔になってしまう。ロープといえども、万能ではなかった。
 グゥエンが、空中のエルフに向けて、「ライト」の魔法を放つ。こうやって、必要な時にためらいもなく魔法を使うからこそ、「魔法の無駄使いをしない」とゆうセリフが生きたものになるのだなぁ。
 ライトの魔法によって、一瞬あたりが明るくなり、魔物の目が赤く光る。相手の姿はよくわからなかったし、剣が届くような距離でもなかったが、ネイディアがその魔物の目が見えた一瞬に、とっさに木の棒(つまりは、手近に落ちていて、投げやすそうな物)を投げつける。それは、魔物にたいしたダメージを与えはしなかったようだが、魔物は捕まえていたエルフを放し、姿を消した。
 みんな、逃げた魔物はほっといて、傷ついたエルフに駆け寄った。声も出せず、ピクリとも動かないそのエルフの身体を、モルは抱きしめている。そんなに悲しむのなら、もっとましな事をすればいいのに。あとで悲しむことなら、誰にでもできる。悲しまないように努力しなくっちゃ!生意気にも、それがヴィエの考えかただ。

 マリアンヌはすぐに、傷ついたエルフの治療を始める。マリアンヌの祈りに応じて、神の聖なる力がマリアンヌに宿り、エルフの傷を癒してゆく。こうして、傷ついた者に救いの手を延ばすのは、僧侶の役目なのだ。
 いや、僧侶だけは、その信じる神によって、行動がかわってくる。先日、清潔の神ソープを信じるとゆうPCと冒険を共にしたが、彼はいつでも小さな石鹸をたくさん持ち歩いていて、それを配りながら、布教につとめていた。彼にとっては、仲間の怪我よりも、仲間が昨日風呂に入らなかったことこそが、心配の種であった。行動を共にする他のPCにも、毎日朝シャンやら入浴を強制していた。なんでも、信者を増やして各地に「ソープランド」とゆう神殿を建てるのだそうだ。
 それにしても、エルフには僧侶はいないのだろうか。エルフは武器を持たないのなら、エルフに戦士がいないのはわかる。しかし、エルフには僧侶も、魔術師も、いないのだろうか。とくに魔術師であれば、その力によって、その姿の見えない魔物と、戦うことも、できるだろうに。
 それに、エルフは武器を捨てたと言っていた。捨てる前は武器を持っていたのだ。現にヴィエが拾ってきた魔剣「月の鏡」だって、エルフの物だったのだから、神との約束以外に、エルフが武器を持たない理由はないのだ。
 ヴィエはモルに、戦えないことがないでしょぉ!と、詰めよっていたが、それでもエルフはああだこうだと、言い逃れ、剣を取ろうとしない。あー!イライラする。このイライラを、自分じゃあ動かないけれども、口は達者なエルフにぶつけていたのでは、よけいにイライラしてくるだけだ。こうなったら、イライラは、通りすがりの魔物にぶつけてやる!
 その事こそ、単にヴィエ達を魔物と戦わなければならない状況に、追い込んだだけではなく、こうしてイライラさせられて、「戦ってやるわぃ!」とゆう気分にさせられた事こそ、マスターのうまさとゆうものだろう。
 運よく?さっきの魔物は戻ってきて、頭上の樹木伝いに、うろちょろしているらしい。ガサゴソと音がするとゆうので、カーノとネイディアが、それを調べにいった。
 魔物の側から考えてみれば、すぐにわかるのだが、攻撃を仕掛けようとしている者は、自分に有利になるように、攻撃を仕掛けるのだ。たとえば、他人数を一度に相手にするよりも、小数に別れているときに、各個撃破する方が、簡単だ。
 魔物にとってみれば、仲間からフラリと自分の方に来てくれた、カーノとネイディアは、絶好の獲物だったのである。
 しかし、ネイディアに一撃を加えられると、魔物はすぐに下がり、今度は一人で警戒にあたっていたザムに、その攻撃の矛先を向けたのだ。
 幸い、カーノとネイディアも、ザムも、他の者からそれほど遠くまで、離れていた訳ではなかった。すぐに襲われた者を、援護できたからこそ、大事にはいたらなかったが、敵がどこにいるかわからない時には、単独行動は非常に危険である事を、こうして肌で覚える事ができた。
 ザムに向かった魔物に向かって、まずグゥエンが「スリープ」をぶつける。しかし、何も起こらない。さすが魔物とゆうだけあって、魔法に対して耐性があるらしい。逆に魔物に凝視されたグゥエンが、ふらついてしまった。それから本格的に、その魔物と戦闘が始まった。
 魔物が、ついさっきまで、反撃されるとすぐに引き下がっていたのは、見慣れないヴィエ達の力を、見極めるためだったらしい。本格的に戦闘になると、この魔物の強いこと強いこと。どうやら魔物に手傷を負わせることが出来るのは、ヴィエの使っている月の鏡だけらしい、とゆうことが、わかってきた。
 そこでラディアンが、とんでもないことを考えついて、しかも相談もなしに実行に移してしまった。きっとエルフ達に感化されたに、違いない。

(強盗ラディアン)「抱き止めてやる!!!そのあいだにヴィエが切れ!」
(VICON)ヴィエとネイディアはそれでも攻撃?
(戦士ネイディア)「ばきゃろう! そんなことできるわけなかろうが」
(戦−ヴィエ)剣を構えて攻撃(月の鏡)
(VICON)ヴィエの剣が振り降ろされる。
(VICON)一撃・・・
(戦−ヴィエ)「・ウ」

 マスターの「・・・」を見て、やっとまずい事をやっちゃったことに、気がついた。「切れ」と言われたら素直に斬る。これは素直の上に「バカみたいに」が付く。
 魔物は大きそうだから、当然ラディアンを避けて斬ったつもりだったんだぁ!とわめいても、魔物の大きさをマスターに確かめてもいなければ、ラディアンを避けて斬ると、マスターに言ってもいないのだ。ラディアンまで斬ってしまったと、判断されても、文句のつけようはない。
 マスターに対する行動の申請と、状況の確認だけは、怠ってはいけないらしい。

(VICON)ラディアンと怪物が地面に落ちる。
(戦−ヴィエ)「うああ!」

 「うああ」と言いたいのは、ラディアンの方だろう。ラディアンははね飛ばされ、倒れて、動かなくなってしまった。一方魔物は、緑色の血塗れになりながらも、立ち上がろうとしている。
 ラディアンが離れたからには、あとは怪我をした魔物を、よってたかって攻撃し、最後にグゥエンが「サラマンダー」によって、焼きつくした。

(VICON)ラディアンはそのまま、そこにはねとばされる。怪物はみどりの液体の中で立ち上がろうとする。
(戦−ヴィエ)「でいやああ!」怪物に攻撃
(戦士ネイディア)攻撃。目をつぶす
(VICON)ぐさっ。ヴィエの一撃が命中。ネイディアの剣も瞳に命中する。飛び散る緑の液体。
(VICON)巨大な顎が、がしがしとヴィエの目の前で開閉する。
(戦−ヴィエ)おもわずひるむ「ウア」
(魔道師グゥエン)「サラマンダーッ!炎よ、敵をやきつくせーっ!」
(VICON)ヴィエがひるんで退いたところにサラマンダーがぶちあたる。
(VICON)怪物が燃え上がる。火花がヴィエにも飛び散る。
(魔道師グゥエン)「あっ」
(戦−ヴィエ)「きゃあー」
(戦士ネイディア)「ころがれ!」
(戦−ヴィエ)ゴロゴロ「あつい!」

 こういった、大きな戦闘シーンになると、一つ一つの行動申請に、力がこもってしまう。手に汗握る、とゆう表現が、比喩では無くなるのだ。
 こうして、エルフ達を喰らっていた魔物は倒された・・めでたしめでだし。が、それどころではなかった。ラディアンごめんよーぅ。まだ生きているかーぃ。それにしても、前回のザムの怪我といい、このラディアンの怪我といい、ヴィエと一緒にいる冒険者達に掛けられる保険の掛け金は、かなり跳ね上がりそうだ。

(戦−ヴィエ)「だいじょぶ・・。ラデイアンは?」
(強盗ラディアン)そうだ、俺は大丈夫なのか?

 ラディアンが大丈夫かどうかは、全部の処理をマスターまかせにしているので、マスターのみぞ知っている。ラディアン本人にもわからない。
 オロオロしながらラディアンに近づいたが、ヴィエになにか出来るわけでもない。あとは、僧侶のマリアンヌ頼みなのだが、神の力もラディアンの怪我を治すことは、出来なかった。
 そうだろうなぁ。あの普通の剣では傷つけられなかった魔物を倒す事ができる、月の鏡でもって、ラディアンは、怪我をしちゃったんだからなー。かなりの大怪我にちがいない。しかも、「僧侶の祈りも、癒しの薬も効かなくなる」とゆうのは、完全に死ぬ前の症状なのだと、マスターが教えてくれた。うぁぁぁぁ!ラディアンごめんよぉ!
 オロオロしていると、エルフのモルが、いきなり「彼を救いたいと、思いますか?」と、ものすごーく、場違いな質問をしてきた。
 当たり前じゃないか!さっきからオロオロしているのが、目に入ってないのか!ほんとにこのエルフにはイライラさせられる。宗教の勧誘なら、新宿駅にでも行ってやってくれ。だいたい、戦闘中には、あんたはどこにいってたんだよ!まったくもうっ!
 しかし、モルは落ちついて、ラディアンを救いたいのならば、月の鏡でラディアンに触れなさい、と言う。なんだかわからないが、ラディアンを救うために、ワラにでもすがりたい気持ちだった。とにかく言うとうりにしてみることにした。
 すると、ラディアンの傷が、みるみる治っていくと、ゆうではないか!。
 よ・よかったあ!さすが魔剣!このくらいの芸はもっていなければ「月の鏡」の名がすたる。本当によかった。本当にラディアンを殺しちゃったかと思った。
 この時の慌てぶりは、今でもよく覚えている。今後けっして、人に向かって、剣を振り回したくはないと、私は思った。もっとも、そうゆう機会はヴィエにはあるだろうけれど、私にはないだろう。しかし、RPGの調子が上がっている時の、現実とRPGの違いは無いようなものだ。人に剣を向ける時の、または人を傷つける事への恐れは、このときヴィエにも私にも等しく染みこんだようだ。



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