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戦士ヴィエの冒険
細江ひろみ(M−ヴィエ)
2005.2〜
壷と指輪
そして翌朝、まだヴィエ達が目覚める前に、いきなりジャークが押し掛けてきて、壷と指輪を置いて
「悪いが、こいつを三日ほど預かってくれ。礼金は受取の時に渡すから・・・」
それっきりで、質問する隙も見せずに、また飛び出して行ってしまった。
昨日は、みんな自分から酔っぱらって寝込んでしまったから、ジャークの商談が、この壷と指輪のことだったとしても、細かい事情を聞き損ねてしまった。
もしかすると、やっぱり盛大な宴会は、マスターの陰謀だったのかもしれない。だとしたら、あそこまでかっきりハマると、なんの文句も言えないなぁ。なにしろ、PCが勝手に酔いつぶれたのだから。
それにしても、ジャークがあれだけ込み入った手を使って(この頃になると、プレイヤーとしては、さすがにマスターの善意とゆうものを、信じなくなって、疑り深くなっていたのだ。ヴィエはちっとも変わりはしなかったが)押しつけた壷と指輪が、単なる壷と指輪だとは思えない。壷には得体のしれない文字が書いてあると、マスターは言った。
まあ、ジャークから仕事を受けた覚えはないし、やばそうだったら品物は放り出してしまっても‥、いやいや、さんざんジャークの金で飲み喰いしたんだし、ヴィエは無責任なPCではない。放り出せばいいやなどとゆう考え方は、しないに違いない。‥多少は考えてもいいかな?
まずは、酒場の主人に、壷やら指輪やらの噂を聞いていないか、確かめるが、何もわからない。あとは、バスクに任せる事になった。バスクはリードマジックを壷に掛ける。これは、グゥエンが月の鏡に刻まれていた言葉を読む時に使ったのと、同じ魔法だ。
龍との契りによりて、
騎士リドワーン、天に誓う。
この蜜と契約の指輪もて
大地の守りをなさん
そう、精霊は壷の文字を読み上げた。リドワーンとは、この世界では有名な、伝説の英雄の名前だと、マスターは説明を入れた。
ここで、月の鏡に刻まれていた言葉
「龍の友なるものよ。我が力とならぬ。勇者よ、この剣をとれ」
と、この壷に書かれている言葉の関連性に、気づかなければいけない所なのだが、プレイ中は、まるっきり気づかなかった。だいたい、偶然始まってしまった、RPGのシナリオにまで、今後のマスターの陰謀のための、複線が張ってあるだなんて、いたいけな初心者が、考えつく筈がないじゃないかぁ!
次に、壷と指輪がいかなる品か、よりも、なぜジャークがこんな事をしたのか、の方が重要だと、ラディアンが言い始めた。盗品の可能性も、あると言う。
こうゆう時には、盗賊ギルドに行って、裏の情報を仕入れてみるのが、一番なのだそうだ。「盗賊ギルド」とゆうのは、大きな街には必ずある、街の影の支配をしている、犯罪者の元締めなのだそうだ。盗賊達はこの組織に上がりを上納し、その変わりに裏の情報や身の安全を得るのだそうだ。盗賊が、盗賊ギルドに無断で仕事をすれば、ギルドから制裁を受ける事もあるらしい。
しかし、その暇もなく、いきなり酒場の回りが騒がしくなってしまった。ジャークがあんなに急いでいた理由を、考えるべきだったかなぁ。騒ぎの原因がジャークの持ち込んだ壷と指輪だってゆうことは、十分に考えられるし、この際壷も隠して警戒するのが一番だろう・・・
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やはり、すぐにチンピラが、ジャークを探しに酒場へとやってきた。こうなったら、口先の達者なバスクにまかせてしまう。舌先三寸が勝負となると、バスクにかなう者はいない。いや、バスクのプレイヤーにかなう者はいない。ただのチンピラとのやりとりが、見てても楽しくスリリングなものになってしまう。
酒瓶を離さない老魔法使いとゆうPCの雰囲気を、セリフ一つ行動一つで、見事にあらわす。きっと、バスクのプレイヤーは、プレイ経験(口車)の豊富な人なのだろう。
やってみるとよくわかるが、「口車でごまかす」と宣言することは簡単でも、実際に舌先三寸でごまかし続けるのは、ものすごくたいへんなのだ。そして、どちらが面白いかと言うと、勿論実際に喋ってみせる方が、RPGは面白い(と、私は思う)。私もバスクほど、ポンポン、セリフを決めて見たいものだ。
マスター:ちんぴら「魔法使いのじいさん、この辺でひげずらの男を見なかったか?」
(魔道師バスク)「ううむ・・・歳をとると忘れっぽいのでな。・・・金はあるか?」 ちんぴら
でぇぇ!金を要求するなんて!人生の先達は、そこまで考えるのか!人を引っかけるときには大胆に、の見本だ。しかし、普通そこまで言うかあ?
バスクは、チンピラをごまかす事より、チンピラを怒らせることに、楽しみを見いだしたらしい。それで何かの得になるとは思えないけれども、態度の悪いチンピラをからかうのを、止める気にはならない。
ジャークの押しつけた壷や指輪を、命がけで守る気にもなれないけれど、こんなチンピラに渡すのも、なんだかしゃくだ。
しかし、こんな事を続けていれば、外を走り回っていたチンピラ達も集まってくる。私は少々あせってきた。こうなったら、チンピラとの交渉はバスクに任せ、一応用心のために逃げ道の確保しようと、考えた。
まず、二階のヴィエ達のいる部屋に、窓があるかどうか、マスターに確かめる。そして、その外にチンピラ達の姿が見えるかどうかを、重ねて確かめる。大丈夫らしい。
大丈夫そうだから、ネイディアに合図を送って‥
(戦−ヴィエ)ちら ネデイア
(戦士ネイディア)(合図にこたえる ヴィエ)
ちら、だけで通じるのだから、こんなに嬉しいことはない。これだから、私がヴィエとして、酒場二階の、とっちらかった宿の一室に、仲間と一緒にいる気分になれるのだ。
しばらくすると、なるべくして、交渉は決裂した。チンピラの親分らしい戦士まで登場して、剣を抜いてきた。バスクがチンピラを眠らせ、ラディアンが酒場の扉を締め、外に残っているチンピラを締めだした。ここまではよかった。
ところが、逃げるつもりになっっていたのはバスク、ネイディアとヴィエだけで、他はチンピラや戦士と、戦う気になっていたらしい。
こんな時に、仲間バラバラに、行動する訳にはいかない。バラバラになって力が分散すれば、そこを狙われるとゆうことも、「すすり泣きの森」で仲間から離れている者から、魔物に狙われた襲われたので、よくわかった。
仕方無しに、ここに留まり、チンピラ相手に戦うことになったが、うーん、えーっと、人間相手に戦うのは、なんかいやだなぁ。
バスクがいきなり、「イリュージョン」とゆう魔法を使った。酒場の真ん中に、龍の姿が現われる。イリュージョンは、幻を出す魔法らしい。チンピラ達は驚いたようだった。ついでにネイディアも、かなり驚いたようだった。ネイディアは、魔法とか龍などの、魔法的生物は、全部嫌いなのかもしれない。
それで起こった大騒ぎの隙に、なんとかチンピラをけちらし、戦士を倒す事ができた。ヴィエの一撃が、戦士にとどめをさしたらしい。
戦士は死んだ。「殺すなよ」と言われた時、思わず「びく」とするのは、前回ヴィエがラディアンを殺してしまいそうになった時の事を連想してしまうからだろうか。
どうにも、チンピラでもヤクザでも、人間を傷つける事に対して、ヴィエは神経過敏になってしまったようだ。この世界なら、悪い奴をバッサリ斬って(西洋の剣では、バッサリ斬る事は出来ないそうだが、そこは気分の問題だ)、にっこり勝ちを喜ぶくらいでなければ‥うーんと、やぱっりその時は、そんな気分にはなれなかったなぁ。
仲間を傷つけたことへの恐怖感、とゆうのは、やはりしっかりと、人間を殺す事への恐怖感として、ヴィエの中に根付いてしまっていたようだ。
(戦−ヴィエ)「人をやっちゃった」
(戦−ヴィエ)「ば、化物なら、やっても、気にならないのに・・・・」独り言
(魔道師バスク)「戦いは戦士の定めじゃよ」 ヴィエ
(戦−ヴィエ)ショックを受けた
(強盗ラディアン)気にしてたら、戦士はつとまらん ヴィエ
(戦士ネイディア)「ほらほら、くよくよするんじゃないよ」(なだめる) ヴィエ
私がこれだけしつこく繰り返していると、ショックは相当なものだったのだろうと、うかがい知れる。さすがに今は、これだけの純情さ?は、持ち合わせていない。それはちょっと残念だが、このヴィエの時ほど、PCの影響を受けてしまうと、本当に自分自身があやうくなってしまう。と言ったら、言い過ぎだろうか。
今では、ヴィエ程入れ込んでしまう事もなくなったし、PCの感じ方を、モロに私が感じることも、なくなった。その分いろいろな性格のPCを、楽しむことが出来るようになったが、ただ一人のヴィエとゆうPCに、心を支配されていたこの時の感覚を、取り戻したいと思う事も多い。あなたは、私がこんなふうに、PCを感じるなんて、オーバーな話だと思うだろうか‥‥
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