(C)hosoe hiromi
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戦士ヴィエの冒険
細江ひろみ(M−ヴィエ)

2005.9〜

ドワーフの村

 かなり山中に入り、峠も越して、巨大な谷間と、それにかかる橋と、谷のこちら側、橋の手前に村が見えてきたと、マスターは言う。その村が、ドワーフの村らしい。ついでに、空は黒雲で覆われ、その中で何かが動いているように見える。谷の向こうは、寒々とした風景だと、マスターは付け足した。
 マスターは、「動いているのが見える」とは言わなかった。「動いているように見える」だ。こうゆう曖昧な言い方をする時には、きっと何かあるに違いない。その上、今日のマスターは、今までにないほど、状況描写に力を入れている。状況よりも、マスターが不気味だ。
 それからドワーフの村に入ると、ドワーフ達はとても憂鬱そうな顔をしていると言う。それはそうとして、ドワーフはドワーフ語で話すのではなかっただろうか。どこかで、そんな話しを聞いたことがある。
 そういったRPGの常識みたいなものは、確かにある。ドワーフはドワーフ語で話し、エルフは森に住み、オークは金が好きだ。しかし、その常識は、マスターの作り出す世界ごとに、疑ってかかった方がいいらしい。
 たとえば、スライムは、ドロドロした水気の多い泥とゆうかゼリーとゆうか、そんなような物だ。その弱点は、だいたいは火とゆうことに、なっている。前に別のマスターの元で、ダンジョンの探索をしている時に、スライムが床や天井にへばりついた地帯を、通らなければならなくなった。そこでスライムに火をつけようとしたが・・。
「ちょっと待て!このスライムはものすごく良く燃えるんだ!ダンジョンでスライムに火をつけたら、俺達みんな、窒息してしまう!」
とゆうことだった。まあ、一応そこのスライムも、火が苦手だと言える。
 また、RPGには、基本的な世界設定をしてくれる物もある。例えば「指輪物語RPG」は、指輪物語の世界で冒険するために創られたRPGだそうだから、そのRPGをやるときには、指輪物語の世界が常識として通用する。しかし、冒険に出たばかりのヒヨッコが、世界の正しい常識を、山ほど頭に詰め込んでいる・・ってのも、なんか変な気がする。
 とりあえず今は、目の前のドワーフと話しが出来るかどうかが、問題だ。とにかく話しかけてみようとゆうことになった。

(巡礼セルフィン)「どうか、なさいましたか?」 ドワーフ
(霧使いユー)「どうしたのですか?」 ドワーフ
(狩人カーノ)「このへんで商売をしているものをしらんか」 ドワーフ
(戦+ヴィエ)「最近、人間がこなかった?」 ドワーフ
(強盗ラディアン)「人探しだ」 ドワーフ
(巡礼セルフィン)「旅の巡礼でございます」 ドワーフ
(戦士ネイディア)「ジャークという人間なんだが・・」 ドワーフ
(狩人カーノ)「ジャークという奴だが」 ドワーフ
(VICON)ドワーフ「一度にしゃべるな」
(戦士ネイディア)「お!通じた通じた!」

 みんな、同じ事を考えていたらしい。セリフが一瞬にして画面にならぶ。これを実際に口に出したのなら、誰が何を言っているのか、わからなかったに違いない。
 テーブルトークだろうが、ケーブルトークだろうが、こんなに大勢がわさわさ喋っていては、何がなんだかわからない事は同じだ。
 こうやって、パーティの人数が増えてきたら、パーティの代表者を決めておくと、いいのだそうだ。しかし、今日は喋りの上手いバスクが参加していない。
 結局、ヴィエがいいとゆうことになってしまった。ヴィエなら、背丈がドワーフとたいして変わらないはずだから、見おろして話さずにすむ。そうすれば、ドワーフだって、話しやすいだろう。と、勝手に考えた。
 考えただけでは、マスターや、他のプレイヤーにはそれがわかるわけはない。考えたことをちゃんと回りに言っておけば、そのように扱われる事もある。なのに、ノリ(だけで)進んでいるRTセッションの場合、そういった事はしょっちゅう忘れてしまって、一人でその気になっていたりする。で、この時もそうだった。
 なんとかヴィエは、ドワーフと話しはじめたが、バスク程の口車を演じれるほど、私の頭は早くは回らないし、ヴィエの性格が、単純明快猪突猛進、でできあがってしまっているので、ひっかけを会話に仕組むこともできない。
 そういえば、ケーブルトークとテーブルトークでは、PCの会話に一番差がでるみたいだ。
 テーブルトークでは、フロアタイルとフィギュアを使って、位置関係がはっきりして、戦闘の時に臨場感が出るけれども、PCの喋りで臨場感はなかなか出ない。とゆうか、PCとして喋るのが上手い人は少ない。
 ケーブルトークでは、ほとんどがPCの喋りでRPGが成り立っているし、みんなテーブルトークよりも、口達者になるような気がする。
 ケーブルトークでは、けっこう喋っていた人が、テーブルトークではマスターに行動を聞かれた時以外には、なにも言わなかったりして、驚いたこともあった。
 ドワーフは、口を聞いてくれない訳ではなかったが、なんか人間を嫌っているようだ。最初は人間なんか知らん。と言っていたが、なんとか人間が来ていることだけは、わかってきた。やはりジャークらしい。

(ドワーフ)「あいつのおかげでいま、大騒ぎなんじゃからな。おまえら、あいつの仲間か?」
(戦+ヴィエ)「ちがう!」

 「あいつら」ではなくて「あいつ」と言っているからには、ここに来ている人間はジャーク一人に違いない。それにしても、「大騒ぎ」の割にはこの村は静かを通りこして陰鬱だ。喧嘩で人死に、いやドワーフ死にが出たんじゃあないんだろうなあ。
 最悪の場合にそなえて、思いきり否定してしまう。ヴィエ達は、壷と指輪を押しつけられただけだ。とゆう態度を押し通そう、と決めた。
 ネイディアでさえ、亜人種嫌いを抑えているのに、なぜかいきなりザムがドワーフに突っかかりはじめた。今までのザムの行動からも、はずれているザムの反乱に、慌ててユーが止めに入っている。
 こらー!、せっかく話がいい方向にいってるのに、ザムはなにしてんだよー!交渉が決裂したら、ドワーフと喧嘩するのかー!と、いくら外野が騒いでも、ザムの行動はザムのプレイヤーにしか、決める事はできない。いや、プレイヤーにすら、決められない事もある。「わかっていても、PCの性格上、こうなってしまうんだぁ!」と叫びながら、わけのわからないことで、PCを危険にさらす事は、よくある話だ。
 こういった、他のPCの行動に干渉したい場合、絶対にそのPCのプレイヤーに、「ああしろ、こうしろ、そんな事するな」と言って欲しくない。それがどれだけ、致命的な結果を巻き起こすかわかっていてもだ。
 たとえば、ある日あるパーティで、食事に薬が盛られていると、考えたプレイヤーがいる。他のプレイヤーも、もしかしたらなー、と思っているのだが、他のプレイヤーのPCは、確信してはいなかった。そのプレイヤーは、他のプレイヤーに、「食べるな」とは言わなかった。そのプレイヤーのPCに、「食べるな」と言わせ、そしてそれでも食べると言い張った他のPCの行動を阻止するために、「ぺーっぺっぺっぺ」と、食事に唾をはいたのだ。大笑いだったが、この機転はすばらしいものだったと思う。
 このとき、プレイヤーとして、プレイヤーに「食事に毒が盛ってあることくらい、わかるだろー。喰うなよなー」とか言われたら、「そんな事くらいわかっている!だが私のPCは知らないんだ!」と答えたことだろう。
 そういえば、同じ様な状況が、「妖魔の市」でもあった。あの時は、呪いでも掛かっているんじゃあなかろうか、とゆうスモモを仲間が食べようとしたので、ラディアンがスモモをすべて地面にぶちまけるとゆう、強行手段に出ている。これも、強盗のラディアンらしい行動だった。
 こんな事がありながら、やっとドワーフと話しが成り立ちはじめたとき、あたりにいるドワーフの様子が、どうもこちらを指さして、ごにょごにょ言っている。人間が珍しいとゆうのでもなさそうだけれども、はっきりとは、聞き取れない。
 すぐさま、ラディアンが、聞き耳をたてると、宣言した。

(VICON)「リドワーンの子孫かのぉ」
(VICON)「なら、それもよいな」

 リドワーンといえば、確か壷に刻まれていた名前だ。だけどこのドワーフのこそこそ声の内容は、ラディアンが耳をそばだてて聞き込んだ事なので、ラディアンにしかわからない。ヴィエは、そんなドワーフのそぶりさえ気にしていなかったんだから、しらんぷりしなくっちゃ。
 とか思っていたら、いきなり振られてしまった。


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