(C)hosoe hiromi
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戦士ヴィエの冒険
細江ひろみ(M−ヴィエ)

2005.9〜

ヴィエ 龍騎士になる

(魔道師バスク)「素直に思いを口に出してみるがよかろう」 ヴィエ

 ああ!とうとう自由とはおさらばなのね!。素直に、って今のところ素直さだけには、自信がない。が、龍騎士になる決心はしている。何を話しかけたらいいかわからない。しかし、なんでもいいから、とにかく話しかけなければ!焦れば焦るほど、何も考えられなくなる。あー!どうしよどうしよ!!
 とにかく、何でもいいから龍に向かって、喋っていよう。

(戦+ヴィエ)「世界でもっとも、大きく気高い、生き物よ!」
(戦+ヴィエ)「蜜をささげる」

 くさい上に、陳腐なセリフで、顔から火がでそうだ。互いに顔の見えないケーブルトークで、本当によかった。後ろの梯子の方でも、状況は進んでいく。その様子も、同時にパソコンに、表示されていく。音だけではあるが、どうやら鎧の騎士は無事で、部屋を出て行ったらしい。
 こっちはこっちで、龍はなんとか、ヴィエの方によってきたようだ。ああああ!なんか喋らなくては!

(戦+ヴィエ)「龍よ、新たな契約者として、蜜を捧げる」
(魔道師バスク)「恐れるな!」 ヴィエ

「契約者として」そう自分で言ってしまうと、急に楽になった。龍騎士の話しが出てから、ずっとヴィエの感じが掴めなくなっていたが、今私の中にヴィエが戻ってくる。ヴィエは龍を恐れてはいない。私は何も考えていない。
 あとは私の指先が、ヴィエが感じたことを、ヴィエの行動を、マスターに宣言してゆくだけだ。

(戦+ヴィエ)「きたれ!」
(戦+ヴィエ)「蜜をここに捧ぐ」
(VICON)龍が軽やかにヴィエの前に着地する。

 一方、鎧の騎士は、オークを連れて、別のルートで屋上に上がって来てしまった。
 だが、ヴィエは今、龍との正念場だ。なにがあっても、龍から目を離す訳にはいかない。それに、巨大な龍と向かい合っているときに、一人の鎧の男と、何匹かのオークが、なんだというのだろう。既にヴィエは、龍に見入られている。いや、ヴィエ自らの意志で、龍を見つめている。恐いとは感じない。
 マスターがいろいろと、ヴィエを脅すが、それもヴィエには関係ない。

(VICON)龍は巨大な口を開いて、牙を向きだした。目が血走っている。
(戦+ヴィエ)龍だけを見ている
(VICON)ヴィエと壷をにらみつける?
(魔道師バスク)「落ち着け」 ヴィエ
(VICON)「がるるるるるるる」龍が唸り声を上げる。
(戦+ヴィエ)「おまえの求めるものは、この蜜と指輪、そして新たな契約者のはず」

 そして、鎧の騎士は、何がなんでもヴィエと龍との契約を、邪魔するつもりのようだ。仲間達が鎧の騎士と戦い始める。それでもヴィエは、龍の前から離れない。
 ネイディアが騎士と戦い始める。それを、マリアンヌが祈りによって、援助している。マスターがさらに、巨大な牙がヴィエに近づくと、脅しをかける。それでもヴィエはじっとしている。
 後ろでは、騎士の持つ青白い剣が雷を放ち、ネイディアは苦戦を強いられている。マリアンヌは祈りにより、ネイディアを支援している。ネイディアの危機を助けるために、ラディアンが騎士に体当たりをかける。バスクもサラマンダーを騎士にぶつけるが、サラマンダーの炎は、騎士の鎧にぶつかって、消え去ってしまうのみ。
 どうやら、騎士の鎧には、魔法を跳ね返すことが出来るらしい。では、梯子を登ろうとしていた騎士にぶつけられた、ユーのサラマンダーも、騎士にダメージを与えられなかったのだろうか。
 ついさっきまでの私なら、ここで仲間を助けに、走っていただろう。なのに今は、龍のことだけを考えている。そして、ヴィエは龍に蜜を捧げ、龍はそれを飲んだ。龍とヴィエとの契約は成立したか見えた。
 我にかえって、ネイディアを助けに走る。ここになって、やっとヴィエの持っている魔剣:月の鏡を、ネイディアに先に渡しておくべきだったと、思いついた。
 龍との契約には、指輪と壺と蜜があればよかったのだし、魔剣を持った騎士には、やはり魔剣でなけでば対抗できないだろう。
 しかし、ヴィエが龍に「力を貸して!」と叫びながら、月の鏡を抜き、戦いの輪に飛び込んだ時、龍はこう言ったのだ。
「おのれの資格を明らかにするがよい。あらたなる龍騎士よ」
 もう龍にかまっている暇はない。騎士は魔剣と魔法の鎧で武装している上に、実際にかなり実力があるようなのだ。今はネイディアとラディアンの加勢をしなければ、他に構っている暇はない。龍が加勢してくれれば一番よかったのだけれども、助けがえられなくっても、龍が敵に廻らなかっただけでも、いいとしなくっちゃ。
 ついさっき、龍と見つめ合っていた時は、本当にヴィエはどうにかしていた。だが、両方とも、ヴィエそのものだ。私が入る隙すらない。これはどうゆうことだろう。
 しかし、それでも龍はヴィエに話しがあるようだった。龍騎士の資格とは、なんの事だろう。「この指輪か、この剣か!」そう叫ぶが、実際にもう一度、龍と向かい合って話すつもりは、ヴィエにはない。

(VICON)龍「指輪は資格ではない。真に必要なものがわからぬでは龍騎士にはなれぬぞ」

 龍騎士の資格云々についてより、目の前の騎士に、仲間がやられそうだとゆうことが、今は問題なんだ。別に龍騎士になれなくてもいい。龍との契約をしたのは、狂った龍を正気に戻すためだ。約束は約束だから、あたしは龍騎士になるけれども、龍が正気に戻ったのならば、その資格がどうのこうのは、後回しにしてほしい。それであたしが、龍騎士の資格を失うとゆうのなら、あたしは全然かまわない。
 そうヴィエが考えているのが、私にはわかった。しかも、ヴィエは「あたし」と一人称で考えている。そうしたら、私の立場はどうなるのだろう。
 騎士、シュビナスに間違いないようだ。完全ではないらしいが、龍騎士の資格を得たヴィエを殺すことが、シュビナスの次の目的になったようだ。シュビナスとは、戦わなければならない。そうヴィエが考えているのがわかる。
 ネイディアが騎士の剣から放たれた雷に倒れた。そのとき、それでもヴィエは、頭に血が登らなかった。さっきの、龍と向かい会った時の、あの感覚が甦る。
 シュビナスとの戦いは、ヴィエが突っ込んですまされるものではないと、ヴィエが感じているのが、私にはわかる。
 この戦いに勝つには、ヴィエの力だけでは、到底無理だ。勝つには、月の鏡の力を、正しく引き出す事が必要だ。今のヴィエにはそれが可能だと、ヴィエは知っているようだった。私に出来るのは、ヴィエが何を感じ、どう行動するのかを、逐一マスターに申告することだけだ。

(VICON)騎士「龍よ、何度でもやってやろう」
(VICON)騎士「おまえが俺の支配を受け入れるまで、新たな龍騎士の首をおまえの前に投げ出してやる」
(魔道師バスク)「お主にはむりじゃよ」 騎士
(魔道師バスク)「わしにも分かるわい。・・・龍騎士の資格は力ではない」

 ヴィエがシュビナスに、攻撃に出る。剣と剣の間で力がぶつかり合い、2人ははねとばされると、マスターは宣言した。

(VICON)騎士「無謀な小娘にはその剣はつかいこなせぬようだな」
(VICON)騎士「世界をにぎるのは俺だ」

 よく覚えている。剣を構えなおし、落ちついて息を整える間を置く。こういったことのマスターへの申請を、私は忘れ始めていたらしい。ついでに、龍の事も、忘れていた。
 龍は、シュビナスとヴィエを、静に見て「龍騎士とは、何を為すべきか、お前は何を守るのか」そう問を出した。
「あたしは!、全てを守る!」
 ヴィエが、すぐさまそう答える。私はそのヴィエの答を、そのままマスターに伝えるだけだ。龍騎士とはそうゆうものだと、ヴィエが思っているのだ。何もかも分け隔てなく守る者だ。だから、龍に問われた時に、その通りに答えた。
 そして、ヴィエは龍騎士になることを契約したのだ。契約は龍に対してのみ、なされたのではない。ヴィエ自身に対しても契約はなされたのだ。契約の相手である龍が存在し、龍がヴィエを龍騎士と認める限り、ヴィエは龍騎士として、全てを守るつもりなのだ。

(VICON)騎士「守るだと、俺は世界を支配するのだ!」
(戦+ヴィエ)「支配!、そんなもの!」
(VICON)剣が振り降ろされる。

 そして、戦いは終わった。シュビナスは傷付き、ヴィエの足元に倒れている。
 もう一度、「龍騎士は、どうあらねばならないか」を、考えてみる。ヴィエは、龍騎士になりすべてを守ると、そう誓ったのだ。その中には、このシュビナスとゆう男も含まれるに違いない。
 だから、ネイディアが、倒れているシュビナスに、止めをさそうとしたとき、とっさにヴィエは、それを止めた。そして、シュビナスに、剣を捨てると、約束できないかと、持ちかけてみた。ネイディアに甘いと言われたが、もとよりそんな約束が、守られるとは思っていない。では、何故こんな話しを持ちだしたのかは、私にもわからない。だが、シュビナスは、そんな約束は出来ないと言う。

(VICON)騎士「いま殺さなければ、いつかおまえを殺すぞ、小娘」
(戦+ヴィエ)「いつかは、今じゃない」

 いつか自分を殺しにくるだろうから、とゆうだけでは、今この男を殺す理由にはならないだろう。

(VICON)騎士「20年前も同じ言葉を聞いたぞ、小娘」
(VICON)騎士「俺が生まれた時にも聞いた」
(戦+ヴィエ)「それは私じゃない」
(VICON)騎士「龍騎士はおまえなんかになれはしない・たとえ、言葉が同じだろうと」

 あたしは、龍騎士になれなくてもいい。ただ、龍騎士として求められる行動をとるだけだ。あたしが、そう誓ったのだから。ヴィエはそう考えている。
 シュビナスは、自分を殺せと言う。そうしなければ、いつかヴィエを殺すと。しかしヴィエはきっぱりと、断わった。
 シュビナスとの話しは終わった。彼が復讐を忘れないのなら、それはどうしようもないことだ。彼の考えを変えさせる権利は、ヴィエにはない。そして、なされていない復讐に対して報復するつもりもない。
 そして、シュビナスは、ダライホードの向こうへと去って行った。向こうは、オーク達が棲む領域だ。人間のシュビナスには、つらいだろう。ばくぜんと、そんな事を考えていた。

(戦士ネイディア)「ヴィエ、あんたは、あたいの想像を絶する娘だよ。まったく・」

 忘れてた!ネイディアの怪我は、大丈夫なんだろうか!いくら騎士との戦いの前だからとはいえ、ネイディアの怪我を見捨ててしまった。気恥ずかしさとともに、徐々に自分が戻ってくる。私も、今日のヴィエには、驚いているのだ。いったい、ヴィエに何が起こったんだ?ヴィエ自身から離脱した感じはなかったが・・・。

(VICON)龍「あれでよいのか?娘よ」

 い、いかん。ネイディアだけでなくって、龍のことも忘れていた。龍を忘れる龍騎士も、めずらしかろう。
 龍には、さっきヴィエが考えたことを、手短に話す。「龍よ、私は全てを守ると、契約した。ならばそうする」と。龍は納得したようだ。そして、ヴィエに最初の望みを言えとゆう。ヴィエには望みなどない。いやあ・ちょっとまてよぉ。とっておきの「望み」があった。こんないい機会がこんなに早くめぐってくるとは、思っていなかった。

(戦+ヴィエ)「いや、こんなことでいいなら、背中に乗ってもいいかな!」
(VICON)龍はうなずいた。
(戦+ヴィエ)「さってと!、ネーデイーア」
(戦士ネイディア)「え?」
(戦+ヴィエ)「一緒に、のろう」
(戦士ネイディア)「い・・いやだぁあああああ!」

 バスクのスリープの魔法で眠らせて、龍の上に引き吊り上げて、あとは飛び立ってから、ネイディアを起こすことにして・・・・
 こうして、ヴィエは龍騎士になってしまったのである。ああ!気持ちいい!。

幕間

 でも、これからどうやってヴィエを動かしたらいいんだ?ヴィエは、プレイヤーの私を越えて、成長してしまった。もう自由気ままにほっつき歩くことができないし、親の仇に出あったって、ほいほい仇討ちするわけにもいかない。
 龍騎士になってしまっても、そうゆう事ができない訳ではないだろうが、私かヴィエのどちらかが、融通のきかない性格なのだろう。
 ケーブルトークでのセッションの後は、しばらく今までのゲームの話題に花が咲く。それが、面白いゲームであればあるほど、それは後を引く。そして、その時に言い切れなかった事は、メッセージとして書き込まれ、記録される。
 たとえば、ネイディアのプレイヤーは、ネイディアが龍の上で目覚めた時の騒動を、書き込んだ。そして私は・・「あなたも龍騎士になれますキャンペーン。指輪があなたの指にぴったりだったら、あなたも龍騎士になれます」と書き込んだ。それに対して付いたレスは・・「ヴィエが付いてくるのなら、考えます」だった。



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