★TRPG >  ★スぺオペヒーローズ

(C)山北篤

第3章 アクション

 スペオペは、アクションの世界です。主人公達は、大地を走り、敵と戦闘し、宇宙船を操縦します。そこで、これらについて、どのくらいうまくやれたかを判定するルールが必要となるのです。

ロール

達成値 目標値 成功レベル

注 《》は能力 〈〉はスキルを現しています。
 アクションの結果は、ダイスで判定します。基本的には、《能力値》〈スキル〉に、サイコロを1個加えることで決定します。これをアクションロール(ロール)と呼びます。
 このロールを行なった結果(達成値と呼びます)を、ゲームマスターが決めておいた基準(目標値と呼びます。目標値の設定を参照。)を比較して、目標値以上の達成値を出せば、行動は成功です。また、どのくらい上回ったかで、成功レベルが決まります。達成値が、目標値を5超える毎に、成功のレベルが上がります。

 あるキャラクターが、物理学に関する何かの問題を解こうとしていたとします。この場合、ゲームマスターは、能力値は《知性》、スキルは〈物理学〉を使うとプレイヤーに告げます。
 キャラクターの《知性》が2で、〈物理学〉スキルが1レベルだったとしますと、3+1D6で結果を求める訳です。
 もしも、〈物理学〉スキルを持っていない場合はどうすればいいのでしょうか。〈物理学〉は専門スキルなので、《知性》2でスキルの無い人間は、2+1D6で結果を求めて、成功レベルを1レベル下げます。
 一般スキルでの行動の場合、成功レベルを下げる必要はありません。

無限ロール

 6が出ると、もう1回サイコロを振って結果に加えることができます。そのサイコロが6だったら、再度サイコロをが振れます。このように、6の無限ロールの振り足しによって、非常に高い効果が得られることもあるわけです。

 達成値 = 《能力値》 + 〈スキル〉 + サイコロ

 達成値目標値  成功レベル
    ~ -1  失敗
  ±0~ +4  成功
  +5~ +9  効果的成功
 +10~+14  決定的成功
 +15~+19  驚異的成功
 +20~     伝説的成功

 ロールにおいて、《能力値》〈スキル〉の組合わせは、ベース能力値とは、特に関係がありません。例えば、〈宇宙船パイロット〉のベース能力値は、《知性》です。けれども、宇宙船を狭いドックに入れる際のロールは、《器用》+〈宇宙船パイロット〉で決定します。また、宇宙船で敵の攻撃を避ける回避行動をする際には、《敏捷》+〈宇宙船パイロット〉でロールします。このように、《能力値》〈スキル〉は、そのアクションの性質に合わせて、適宜組合わせて使います。

サイコロを多く振る

 このRPGでは、様々な場合に、サイコロを多く振って判定することが出来ます。サイコロを多く振れば、高い目が出る確率が上がり、行動が成功しやすく、またより優れた成功になりやすいのです。
 ただし、この場合、サイコロの目を加算するのではありません。サイコロの中で、最も有利な目を使うことが出来るのです。
 例えば、サイコロを4個振る場合を考えてみましょう。振ったサイコロの目が、6・6・6・3だったとすると、6の目は振り足しです。よって、振り足しが出来るのは、サイコロ3個です。3個振ると、6・6・2でした。すると、再度の振り足しが出来るのは2個です。そして、2個振った結果は、5・1でした。この場合、最も有利なサイコロの目は、6と6と5の組合わせですから、サイコロの結果は17ということになります。

        1回目 2回目 3回目 トータル   サイコロの結果
サイコロA    3         =  3
サイコロB    6 → 2     =  8     17
サイコロC    6 → 6 → 1 = 13
サイコロD    6 → 6 → 5 = 17

時間をかける

 1つのアクションに、そのアクションで通常必要とする時間以上に時間をかけると、ロールにおいて有利になります。
 通常の2倍の時間をかければ、サイコロを2個使えます。同様に、3倍なら3個、4倍なら4個のサイコロが使えます。
 ただし、どんなに時間をかけたとしても、元々の〈スキル〉以上のサイコロは使えません。つまり、スキルレベルが2のキャラクターは、最高でサイコロ2個のロールが出来ます。

協力

 1つのアクションに対し、同じ技能を持った人物が協力することが出来ます。例えば、宇宙船のパワープラントを修理しようとする場合、〈エネルギー工学〉技能を持った人間が2人居れば、片方が助手となって協力することで、振ることの出来るサイコロを1つ増やすことが出来ます。
 つまり、2人でやればサイコロ2個、3人でやればサイコロ3個振ることが出来るのです。何人かで協力しあえる行動でなければ、このような協力は出来ません。
 普段の3倍の時間をかけて、2人で協力する場合は、どうでしょうか。3倍になるのでサイコロ3個(2個増やす)、2人でやるのでサイコロ2個(1個増やす)です。ですから、基本の1個に加えて、2個増やし、1個増やすので、合計で4個で判定を行ないます。

スキルの基準

 このゲームでは、《能力値》〈スキル〉(のレベル)で、物事を判定します。それでは、この数値がどのくらい有れば、ほぼ満足できるのでしょうか。そこで、どの位の能力ならば、どのくらい評価されるのかを表にしてみました。
 ただし、《能力値》〈スキル〉の組合わせは、その場その場で異なる可能性があります。ですから、これはあくまでも目安に過ぎません。

 《能力値》〈スキル〉 評価
      2      低い
      3      人並
      4      ヒーローの標準
      5      やるな!
      6      凄い!

目標値の設定

 ロールを行なわせるとき、どのくらいの値を目安にすればいいのでしょうか。スペオペヒーローズでは、目標値は以下のように考えてください。このRPGでは、目標値とイコールの場合、ロールは成功です。

 目標値  基準
  3   非常に易しい(スキルさえあれば失敗しない)
  4   かなり易しい
  5   易しい(低い能力でも成功することが多い)
  6   少し易しい
  7   標準(人並の能力で50%成功)
  8   少し難しい
  9   難しい(やるな!と言われる能力でも50%成功)
 10   かなり難しい
 11   非常に難しい(凄い能力をもってしても、失敗の方が多い)

特殊な状況

 スペオペでは、主人公は、必ずしも万全の体勢で行動できる訳ではありません。時には、非常に苦しい状況で行動を起こさないといけない場合もあるのです。

暗闇


 暗闇では、主人公は目が見えませんから、あらゆる行動に-2のペナルティを受けます。
 ただし、赤外線ゴーグルや光増幅ゴーグルを付けていれば、このペナルティを無視することが出来ます。赤外線ゴーグルは、光が全く無い状態でも、対象が熱を持っていれば見ることが出来ます。光増幅ゴーグルは、僅かでも光が無いと無効ですが、熱を発しない物体でも見ることが出来ます。

無重力

 無重力状態では、主人公の行動は、制限されます。何か行動を起こそうとすると、《器用》+〈無重力行動〉のロールを行なわなければいけません。このロールに失敗すると、主人公は、その行動に無条件で失敗してしまいます。
 戦闘シーンでは、ラウンドの初めにロールを行なって、失敗したラウンドは、行動が出来ません。ロール目標値は、そのラウンドに行ないたい行動によって、決まります。もしも、ラウンドの最初に行なったロールよりも激しい行動をしたい場合、その時点でロールをやり直します。

行動                 ロール目標値
指先の行動                 4
全身行動(無反動火器の射撃)        5
反動の有る行動(有反動火器の射撃)     6
白兵戦                   7

高重力

 高重力下では、主人公の行動力は非常に低下します。そこで、《体力》+〈高重力行動〉のロールを行なわなければいけません。このロールに失敗すると、主人公の行動は無条件で失敗してしまいます。
 戦闘シーンでは、ラウンドの初めにロールを行なって、失敗したラウンドは行動出来ません。
 ちなみに、戦闘シーンなどで、宇宙船が回避する場合(4章参照)、サイコロ2個で回避すると2G、3個で回避すると3Gとなります。操縦中に、高重力ロールに失敗すると、操縦不能となり回避すら出来ません。

 重力  回避のサイコロ  ロール目標値
 1.5G             3
 2G      2        4
 2.5G             5
 3G      3        6
 3.5G             7
 4G      4        8

ヒーローポイント

 ヒーローポイントは、基本的には一度に1ポイントしか使うことができません。怪我をした場合は、その負傷の度合に応じて、2ポイント以上のヒーローポイントを使うことが出来ます。
 ただし、同じ行動に関してでも、内容が違うなら、それぞれにポイントを使うことができます。例えば、誰かが撃たれた場合、「他人を庇う」で1ポイント使い、受けたダメージを「負傷軽減」で減らすのは、可能な訳です。
 ヒーローポイントを使用した場合、キャラクターシートの、ヒーローポイントのプラスの欄に記入してください。
 ヒーローポイントの使い方は以下のようなものがあります。これらの使いこなしの上手下手によって、プレイの盛り上りや冒険の容易さが大きく変わります。色々と工夫してみましょう。

サクセス

 主人公がスキルのロールに失敗したとき、1ポイント使うと成功に出来ます。また、1ポイント使って、成功レベルを1レベル上げることにも使用できます。
 逆に、1ポイント使うごとに、敵の成功レベルを1段階ずつ落とすことも出来ます。

知ってる

 専門スキルが、どうしても必要なとき、ヒーローポイントを使うと、最低限のスキルがあることになります。
 たまたま、そのことだけは、TVで見たことが有るとか、知り合いがしていたのを見たことがあるとかで、0レベルのスキルがあるとして、そのセッション中使うことができるのです。
 0レベルでもスキルが有るならば、スキルの無い場合のペナルティは無くなりますし、6が出たときに振り足しも可能になります。
 例えば、どうしても巨大ロボットを操縦しなければならないのに、〈ロボット操縦〉のスキルを持っていないとしましょう。この時、1ポイントのヒーローポイントを使うと、そのロボットを知り合いが持っていて乗せてくれたことが有るので(この理由は他にも考えられます)、0レベルのスキルを持っている(つまり、ペナルティが無い)として搭乗できます。
 ただし、0レベルスキル効果は、そのセッション限りのもので、また同じセッション中でも、違う行為を行う場合(例えば、違う種類のロボットに乗るなど)は、やはりスキルが無いものとして扱われます。

アイデア

 1ポイントのヒーローポイントを使うと、使った者は、いいアイデアを思い付くことが出来ます。
 具体的には、ゲームマスターが、困っている事態を解決するためのヒントを教えてくれます。
 できるなら、そのアイデアは、ヒーローポイントを使ったキャラクターに見合ったものであるほうが望ましいでしょう。例えば、スパイタイプなら暗黒街の知識で、科学者タイプなら科学の知識で、アイデアが沸いたほうがリアリティも有り、面白くなります。
 しかし、キャラクター毎にアイデアを考えるのは、ゲームマスターの負担が大きいので、必ずしもそこまでする必要はありません。

命中回避

 主人公であるPCに弾が当たったと見えたとき、実は当たっていなかったことにします。1ポイントで、いかなるレベルの命中(命中のレベルについては第4章)も無しにできるので、「サクセス」よりもずっと有利です。その代わり、別のペナルティがあります。
 主人公に当たらなかった弾は、空中に消えてしまったわけではありません。その分、何らかの影響を及ぼしています。そこで、外れた代わりに、何らかの影響を被ってしまうのです。ゲームマスターは、以下のリストの中から、シチュエーションに合った影響を選択して、プレイヤーに課してください。
 ゲームマスターとプレイヤーは、これ以外にも、ありそうなパターンを考えた場合、好きなように適用することが出来ます。シチュエーションに相応しい、盛り上がるペナルティならば、プレイヤーも一緒になって乗ってくれるでしょう。

ちょうどここに

 何か必要なアイテムがあって、しかも手元に無い場合、ヒーローポイントを使うと、代用品を発見することが出来ます。
 例えば、武器が破壊されてしまい困った場合など、ヒーローポイントを使うと、そこに敵が落としていった銃を発見したりするのです。
 代用品は、あくまでも代用品ですから、そのものズバリの品物ではないかもしれません。例えば、爆弾の蓋を開こうとねじ回しを探したら、代わりに七徳ナイフを発見したりするかもしれません。

他人を庇う

 スペオペの主人公たるもの、弱者や友人を救わなければいけません。主人公は誰かがダメージを受ける場合(銃で撃たれる、爆発に巻き込まれるなど)、ヒーローポイントを使うことによって、身をもって庇うことが出来ます。しかし、その場合、主人公はそのダメージを自分の身に受けてしまいます。
 この受けたはずのダメージを、ヒーローポイントで、命中レベルを落としたりダメージの軽減で減らしたりしても構いません。

ダメージの軽減

 主人公達は、ダメージを受けた場合、それを軽減するためにヒーローポイントを使うことができます。ヒーローポイントを1ポイント使うと、受けたダメージレベルを1レベル減らすことができます。
 この使用法は例外で、一度に使用できるヒーローポイント数の制限と無関係に使用できます。つまり、1時に幾つのヒーローポイントを使用しても構いません。

ネガティブ・ヒーローポイント(NHP)

 ゲームマスターは、いついかなる時でも、キャラクターの行動の、成功を失敗に、もしくは成功レベルを減らすことができます。
 ただし、この時、そのキャラクターにヒーローポイントを1ポイント返すことになります。プレイヤーは、キャラクターシートの、ヒーローポイントのマイナスの欄に記入してください。
 これは、スペオペのストーリーでは、シナリオ序盤では、主人公達は、「気付きそうなことに、何故か気付かない」「惜しいところで、わずかに失敗する」などのシチュエーションになることが多いからです。
 これらの、シチュエーションを実現するために、ゲームマスターは、ネガティブ・ヒーローポイントを発行して、プレイヤーのアクションを失敗させます。
 また、ゲームマスターは、キャラクター達にとって、いかにも不利な偶然を起こすことができます。または、敵の工作があまりにピッタリはまってしまうようにできます。
 ただし、この場合も、ネガティブ・ヒーローポイントを与えます。
 これは、スペオペのストーリーを盛り上がらせるために、主人公達に「どうして、こんなマズイ事になったんだ」というような偶然が起こることが多いからです。
 けれども、プレイヤーは、「ならば、いくら努力しても無駄だ」と考える必要はありません。今の失敗が、将来役に立ちます。
 ヒーローポイントを使用しすぎると、経験点が減ってしまいます。けれども、使用したヒーローポイントは、プレイヤーが使用したヒーローポイントから、ゲームマスターが発行したネガティブ・ヒーローポイントを引いた値なのです。つまり、序盤でNHPを貯めておけば、クライマックスで派手な活躍をしても、経験点を減らさないで済みます。

スキル

 スキルの解説です。スキル名の次に来る能力値は、覚える基礎となる能力値です。その後ろに、のついているものは、専門スキルで、持っていないとペナルティがあります。

戦闘系スキル

運動系スキル

宇宙船系スキル

操縦系スキル

科学系スキル

工学系スキル

人文系スキル

悪徳系スキル

対人系スキル

その他のスキル

超能力系スキル(オプションルール)

 詳しくは、七章オプションルールの超能力を参照してください。