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(C)山北篤

第8章 ゲームの背景

ジャンプ

 2036年、土星系の有人調査に出かけた宇宙船ガイアは、そのリングに奇妙な人工物体が浮遊しているのを発見しました。それは、1辺10mほどの、ほぼ立方体で、明らかに長期間宇宙空間に浮遊していたにもかかわらず、傷一つついていませんでした。
 それを、ガイアは苦労して地球系に持ち帰りました。そして、地球近傍の宇宙空間で調査を行うために、周囲に宇宙プラットホームを建設しようとしました。しかし、建設途上で、物体は作りかけのプラットホームと共に消滅したのです。
 宇宙人の残した一種の爆弾だったのだろうという結論が出た3年後、プラットホームは太陽系に帰還しました。物体はジャンプドライブだったのです。宇宙プラットホームの建設技術者達は、苦労の末、ジャンプドライブの有る程度のコントロールに成功し、それによって地球に帰還することに成功しました。
 現在、ジャンプドライブの分析によって、地球製のコピージャンプドライブが開発されています。コピードライブは、膨大なエネルギー源を必要とし、しかも、オリジナルに比べずっと性能が低いのです。よって、オリジナルドライブを所有しているものは、よほどの金持ちか幸運かどちらかです。
 主人公グループは、親から受け継いだのか、自分で見つけたのかは分かりませんが、オリジナルドライブを所有しており、そのため彼らの宇宙船はサイズに比較して高性能です。しかし、オリジナルドライブを奪おうとする宇宙海賊などからも狙われやすいでしょう。
 主人公達は、それらの火の粉を振り払いつつ、銀河を駆け巡るのです。

 ジャンプまたはジャンプシップについてのデータは、以下のとおりです。

時間

 超空間ジャンプは、一瞬で終わります。ジャンプしたなと思ったら、その瞬間に目標の空間にジャンプアウトしているのです。ですから、恒星間旅行も、割と短い時間で終わります。
 問題となるのは、ジャンプとジャンプの間の航法計算やエネルギーチャージの時間、惑星上からジャンプ可能域までの通常航行の時間なのです。

エネルギー

 ジャンプドライブを動かすためには、エネルギーを供給する必要があります。ただし、オリジナルドライブは、ほんのわずかなエネルギーで動作します。それに対し、コピードライブを使う場合、船体の半分ほどをパワープラントで占めなければ、動作させることができません。逆に言えば、同じだけの搭載量の宇宙船を作ろうとすると、コピードライブでは、オリジナルドライブの2倍のサイズの船を作る必要があります。
 コピードライブは、1度ジャンプするとエネルギーの再チャージに、ほぼ3時間必要となります。けれども、オリジナルドライブは、再チャージに時間を必要としません。
 ただし、ジャンプ計算を行なうのに時間がかかりますから、オリジナルドライブと言えども、連続ジャンプが出来る訳ではありません。

補給

 コピードライブは大食らいなので、通常の宇宙船では、ジャンプを10回行なったら、パワープラントの燃料補給が必要になります。豪華客船や艦隊旗艦のような船では、その付属設備のために燃料タンクが小さくなっているため、5回ほどのジャンプしか出来ません。
 オリジナルドライブは、わずかしかエネルギーを食わないので、ジャンプだけならほぼ無限回行なえます。
 通常空間での航行には、噴射剤を使いますので、10回に一度くらいは補給が必要となります。また、戦闘機動を行なえば、数回の戦闘で、噴射剤が切れるでしょう。
 この他に、様々なメインテナンス(空調や生活必需品、食性植物プラントなど)のために、半年に1度ほど補給が必要です。
 以下は、120m級のジャンプシップの補給費用です。サイズが、1増えるたびに、費用が8倍になると考えてください。同様に、サイズが1減ると、費用が8分の1になります。ただし、メインテナンス費用は、定員1名ごとの価格です。
   コピードライブ補給    200万Cr
   オリジナルドライブ補給     0Cr
   噴射剤補給        100万Cr
   メインテナンス       50万Cr/人

ジャンプ計算

 ジャンプの困難さは、ジャンプ距離で決まります。これで分かるように、余りに近過ぎても遠すぎても、ジャンプは困難になります。
 また、航路が開かれていない場合、航路が有ったとしても精密な測定が行われていない場合は、ジャンプは困難になります。また、ジャンプ計算に必要な時間も変わります。
 ジャンプ計算をしないで勘でジャンプするのなら、ジャンプ直後でも(エネルギーさえあれば)即座に再ジャンプできます。ただし、難易度が一挙に上昇します。
 10光年以上のジャンプは、オリジナルドライブでしか出来ません。
  ジャンプ距離    難易度
     ~1光秒    6
  1光秒~1光分    5
  1光分~1光年    4
  1~5光年      3
  5~10光年     4
  10~20光年    5
  20光年~      6?

   航路      難易度   計算時間
  既知航路      ±0    30分
  開発中航路     +2    1時間
  未知宙域      +4    2時間以上

   計算        難易度
  ジャンプ計算をする   ±0
  勘でジャンプする    +4

ジャンプ位置

 惑星や恒星の近傍では、重力の影響で、ジャンプ誤差が非常に大きくなり、危険です。そのため、ジャンプは、安全距離だけ星から離れて行なうように指導されています。
 安全距離は、星の直径の10倍です。これより近い距離でジャンプを行なう場合、1倍ごとに、難易度が1上がります。例えば、5倍の距離ならば、難易度に5加えることになるわけです。
 これは、ジャンプアウト先の安全距離でもあります。ジャンプ先が、安全距離より短ければ、やはり難易度が上がります。
  ジャンプ距離   難易度
 100倍以上    -1
  10倍以上    ±0
   9倍まで    +1
   8倍まで    +2
   7倍まで    +3
     :      :
   1倍まで    +9
   それ以下    +10

 標準のジャンプ計算コンピュータは、《知性》+〈超空間工匠〉の値が3ですから、1~5光年のジャンプ(難易度が3)の場合、90倍までの距離なら安全にジャンプできます。
 10倍と言うと遠いように思えますが、地球で言うなら、わずか6万km余りです。これは、月の公転半径の6分の1、静止衛星軌道の2倍ほどでしかありません。ですから、ジャンプ距離を取るのは、それほど大変な作業ではないのです。地上から、1.5Gで加速していったとすれば、1時間ほどで距離を取ることが出来ます。
 上の事から分かりますが、惑星から惑星への移動でも、ジャンプしたほうが早いのです。ただし、短距離ジャンプの計算が難しいことと、ジャンプシップが高価なことから、遅くても良い貨物などは、通常航行で輸送されます。現代で、航空便と船便の違いのようなものです。

ジャンプ誤差と失敗

 ジャンプが成功した場合、ジャンプ誤差は0.01%以下になります。この精度があるために、惑星間のジャンプも可能になるのです。サイズで計算する場合、13引いた値の誤差が出ると考えると良いでしょう。例えば、隣接星系へのジャンプ(サイズ56)の場合、冥王星公転半径(サイズ43)ほどの誤差が出ると考えます。
 ジャンプに失敗した場合、以下の表でジャンプミスの影響を調べます。
2D   ジャンプミスの影響
 2 宇宙船は消えてしまい、2度と現れることはない。
 3 ジャンプドライブが中破する(コピードライブのみ)
 4 ジャンプ時の時空のねじれで、船体が中破する。
 5 ジャンプドライブが小破する(コピードライブのみ)
 6 ジャンプ誤差が、1%程度にまで大きくなる。
 7 ジャンプ時に、ぐらぐらと宇宙船が振動する。(実害は無し)
 8 ジャンプ誤差が、0.1%程度にまで大きくなる。
 9 ジャンプ時の時空のねじれで、船体が小破する。
10 思わぬ大パワーが流れ、パワープラントが小破する。
11 全く思ってもみなかった場所にジャンプアウトする。
12 宇宙船を残して、ジャンプドライブだけが何処かへジャンプして消えてしまう。

通常のジャンプ旅行

 上記のシステムから、通常の惑星間・星系間の旅行の形態が分かります。
 標準的な惑星間の旅行は、以下の順に行われます。まず、地上からシャトルで衛星軌道まで上がります。シャトルは、スペースポート衛星に到着し、そこでジャンプシップに乗り換えます。先進惑星では、シャトルの代わりに軌道エレベーター等を設置しているところもあり、この場合は、地上から直接スペースポート衛星に行けます。ジャンプシップは、通常航行で安全距離を取った後、目的の惑星の近くまでジャンプします。そこから、スペースポート衛星でシャトルに乗り換え、目的の惑星に到着します。時間的には、2~3時間程度の旅です。現代で言うと、国内便の飛行機程度です。
 ただし、最新型のジャンプシップには、本体からシャトルを分離して地上との往復をするタイプが有り、この場合はドッキングだけで即座にジャンプできるため、スペースポート内での乗り換え時間を節約できます。惑星間ジャンプシップでは、これによって所要時間を1時間(今までの半分)にできるため、繁栄した星系では、これが主流となりつつあります。
 標準的な星系間の旅行は、ジャンプシップに乗り換えるまでは同じです。そこから、目的の星系へジャンプします。ただし、ジャンプ誤差(5光年のジャンプで5光時ほど)の関係上、あまり星系に近いところにジャンプアウトすると危険です。そこで、ある程度離れたところ(太陽系で言えば、冥王星軌道の倍ほど)に飛び、そこで位置測定をし惑星間距離の短いジャンプを行ないます。太陽系以上のサイズの星系では、誤差が大きくなるために、短いジャンプを2回しなければならないでしょう。このため、時間的には10時間ほどかかります(10光年以内の場合)。現代で言うと、国際便の航空機程度です。
 シャトルドッキング型のジャンプシップは、あまり所要時間の節約にならない(10時間が9時間になっても、余り意味が無い)ので、星系間旅行用のジャンプシップではほとんど使われていません。
 辺境や開発惑星などで、スペースポート衛星の無い惑星では、地上に降りることの出来る流線型船体のジャンプシップが広く使われています。

サイズ

 ジャンプドライブのサイズによって、ジャンプできる宇宙船のサイズが決定されます。ただし、1辺10mのジャンプドライブで、250m級宇宙船をジャンプさせることができますから、それほど問題にはなりません。
 一般に、ジャンプドライブは、自分の長さの30倍の宇宙船をジャンプさせることができると言われています。

コントロール

 ジャンプドライブのコントロールは、2m×1mほどの完全平面のコントロールパネルを、叩くことで行ないます。叩く位置・方向・力・時間のコントロールによって、ジャンプ距離や方向が決められます。
 通常はこの刺激パターンを記憶した専用コンピュータを接続してコントロールしていますが、〈超空間工匠〉という技術を持った職人は、手作業でコントロールすることも可能です。彼ら職人は、最初のジャンプコントロールに成功した建築技術者の弟子達です。

ジャンプ距離

 ジャンプドライブの能力は、コピードライブで約10光年、オリジナルドライブで約20光年のジャンプが可能です。オリジナルドライブは、より長距離ジャンプも可能だと言われていますが、コントロールの仕方がよく分かっていないために、ジャンプ計算コンピュータでは20光年以上のジャンプをさせることはできません。

ダメージ

 オリジナルジャンプドライブには、人類の科学力では傷一つつけることは出来ません。もちろん、地球製のコピードライブは、普通に破壊することが出来ます。
 ですから、オリジナルドライブを持った宇宙船を破壊して、そのジャンプドライブを奪うといった荒っぽい方法が使えます。実際、宇宙海賊に破壊されて、オリジナルドライブを奪われた船が存在します。

オリジナルドライブの分布

 今の所、約1立方光年に1個程度の割合で、ジャンプドライブが存在すると言われています。しかし、発見されているのは、ごくわずかです。
 現在、人類が所有するオリジナルドライブの数は、銀河連合の統計によれば、5246個です。ただし、宇宙海賊などの犯罪者のもの、国家や大企業が秘密裏に運用しているもの等は、統計に表れないので、実際にはそれ以上の数があると言われています。

ジャンプシップの登録

 銀河連合(後述)内を航行するジャンプシップは、全て銀河連合に登録して、コードナンバーを貰う義務があります(ただし、登録しなくても罰則はない)。例え、軍の船であろうと、コードナンバーは必要です。このコードナンバーが無い場合、遭難しても銀河連合は救助してくれません。また、連合加盟国の多くのスペースポートでは、コードナンバーを持たない船の入港出港の手続が非常に面倒になっています。
 このため、連合非加盟の諸国の船でも、ほとんどは連合のコードナンバーを所有しています。でなければ、不便で仕方が無いのです。
 ただし、登録しなければならないのは、宇宙船の所有者とサイズと定員、それにジャンプドライブの形式だけなので、軍や情報部などは、ダミーの会社などを設立して、その名義で登録しているようです。

通信  ジャンプドライブの付属施設として発見された超光速通信機も、地球の技術でコピーされて利用されています。ただし、非常にエネルギーを食うので、携帯用超光速通信機は存在しません。最低でも、通信室規模の設備を必要とするのです。
 通信設備の大きさによって、通信距離が決まります。この場合、設備の小さいほうの大きさで、距離を決定します。
 TV電話は、ほとんどの星系にまでかけることができるようになっています。惑星内にかける場合市内通話なみ、惑星間は国内長距離電話なみ、星系間は国際電話なみの料金がかかります。これらの通信を司っているのは、巨大企業GTT(Galaxy Telephon & Telegragh)です。
 宇宙船の通信室では、10光年ほどしか届かないため、それ以上の距離を通信する場合は、近くの星の通信ステーションを経由することになります。このためには、GTTに移動体通信の登録をしておく必要があります。また、通話の際には距離に応じた利用料金がかかります。その代わり、どこの電話にかけることも可能です。
 通信室規模のものは、どんな辺境の惑星にでも設置されます。通信ステーション規模のものは、星系で1つ設置されます。ただし、開発中の星系などでは、近く(10光年以内)の星系の通信ステーションを利用させてもらっている場合も多いようです。
 設備規模           通信距離
 通信室            10光年
 通信ステーション(ビル)  100光年

現在の宇宙

 銀河歴199年(西暦2234年)。人類は、ジャンプドライブを手に入れて、宇宙に急速に広がりつつあります。きちんとした政府組織の無い星系も多く、日本では想像できない危険が多数待っています。要は、西部開拓時代のアメリカを想像してください。自分の身は、自分で守らなければならないのです。
 現在の政治状況は、各太陽系毎に1つの国家が存在しています。中には、植民星を持っている国家もあります。それらの国家をまとめるものとして銀河連合が創設されて、現在数百の国家が加盟してます。けれども、加盟国に匹敵する数の開発中の太陽系が存在し、開発を終えて国家の形態を取っているものの未加盟のままの国家も少なくありません。それどころか、海賊が自分の基地として開発している、誰も存在を知らない星系すらあるのです。
 これらの国家間には、ほんの一寸したことで戦争が起こりかねません。連合加盟国同士ですら、戦争を起こしたことは何度もあります。今の国連でも、加盟国同士の戦争などざらにありますから、当然でしょう。
 銀河連合には、航路保全・海賊退治・停戦監視などを目的とする連合宇宙軍が付属しています。しかし、人類の住む星系は数多く、それら全てを守るには宇宙は余りにも広いのです。それら全てに、連合宇宙軍の艦艇を回す余裕は銀河連合にもありません。そんな巨大な軍隊を維持する費用が、どこからも出ないからです。
 ですから、植民者や客船・貨物船を襲う宇宙海賊などが横行しています。また、未知の疫病や獰猛な現住生物などに襲われる植民者も少なくありません。
 そこで、それらに対抗するために、流れ者の用心棒を雇う植民星も多数あります。

人類の分布

 人類の分布は、地球を中心とする100万立方光年(1辺100光年)程度の空間にまで広がっています。この空間の中には、1万ほどの星系がありますが、開発されているのは、数10分の1しかありません。しかし、この宙域は、文明も栄え、治安も良いほうです。
 その外にも人類は広がっていますが、その密度は低く、辺境星域と呼ばれています。人類の居住する星系で最も遠いものは、地球から百数十光年ですから、人類の居住区は、2700万立方光年(1辺300光年)程度まで広がって居ると考えてよいでしょう。
 もちろん、探検家たちは、それより遠い宙域にまで探検に出かけていきます。
 地球近傍の星域では、125立方光年(1辺5光年の立方体)に1個の割合で、星系が存在します。つまり、星系と星系の平均距離は、約5光年であると考えるとよいでしょう。

銀河連合(Galactic Union)のシステム

 銀河連合(略称「GU」)は、加盟国の拠出金によって運営されている組織です。加盟国家間の紛争を阻止し、非加盟国からの攻撃を共同で防ぎ、宙域航路の保全を行なうことを目的として設置されました。
 現在、国家の3分の2ほど(200くらい)が、銀河連合に加盟しています。けれども、未加盟の国家もまだまだ多く、国家になっていないために加盟していない植民星も多くあります。
 銀河連合は、加盟国それぞれが1票を行使する連合総会を最高決議機関とする、多数決システムを取っています。加盟国それぞれの政治形態には干渉しません。王国であろうと、共和国であろうと、軍事独裁政権であっても、非難されることはないのです。ただし、目に余る場合、総会などで非難され、脱退を勧告されることも有り得ます。
 銀河連合には、各種の専門機関を傘下に持っています。主要な専門機関については、以下に解説します。

銀河連合軍(Galactic Union Force)

 銀河連合は、航路の保護や海賊退治、停戦監視などを行なうための専門機関として、銀河連合軍(GUF)を保持しています。
 銀河連合軍は、単独の軍事組織としては、既知宙域で最大の規模を持っています。けれども、その行動範囲はあまりにも広く、監視の目は行き渡りません。銀河連合の軍事力については、後述します。
 銀河連合軍は、専門の諜報機関も持っています。銀河連合軍情報部は、凄腕で知られており、各国諜報機関の目の敵にされています。
 情報部は、公表情報を集めて分析する情報1課と、秘密工作を主とする情報2課3課に別れています。情報2課はまさにスパイであって、加盟非加盟に関らず各国で諜報活動を行なっています。情報3課も、スパイですが、こちらは主として宇宙海賊などの犯罪組織を対象にしています。

銀河警察(Galaxy Police)

 銀河警察(GP)は、国家間にまたがる犯罪や、宇宙海賊などの特別重大犯罪などを追うために設立されました。銀河警察の職員は、加盟国内において、特別の許可無しに警察権を行使することが出来ます。また、犯人逮捕などのために、加盟国の警察に対し協力を要請した場合、国家警察は拒否できないことになっています。ただし、出来る限りその国の法律や慣習を守るように、指導されています。
 けれども実情は、各国家警察は、銀河警察を敵視していることが多く、協力を求めても、言い訳されて拒否されるだけのことが多いのです。また、国家警察から情報が流れたり、時には国家警察自身が犯罪の温床になっている場合すら有り、かえって命の危険を招くだけの事が多いようです。
 それゆえ、多くの銀河警察の刑事達は、秘密裏に潜入して、秘密裏に逮捕し、秘密裏に去ることを好みます。

銀河郵便連合(Galaxy Post Union)

 銀河連合加盟国間の郵便事業をまとめる機関が銀河郵便連合(GPU)です。ただし、加盟国であっても、郵便検閲などのために、武力をもって郵便船を襲ったり、通信の暗号化コードを盗もうとすることがあります。もちろん、表立っては出来ないので、海賊を装ったりするのです。このような事態に対処するため、GPUの郵便船や郵便局も、小規模ながら武装されています。

銀河気象機関(Galaxy Meteorological Organization)

 銀河連合内の、気象情報をまとめ、船舶に通知するための機関です。ただし、この場合の気象情報とは、太陽風や超新星爆発、恒星フレアや航路浮遊物などの情報です。
 けれども、このような調査を単独船で行なうために、GMOの調査船が海賊などに出会う確率は高く、そのためGMOの調査船は、銀河連合軍の駆逐艦並の武装をしています。

宇宙運航管理局(Space Ship Operation Management)

 俗に宙運局と呼ばれています。ジャンプシップの登録管理を行い、銀河連合内で通用するコードナンバーを発行する機関です。
 銀河連合所属の主要な宇宙港には、その支局が置かれています。銀河連合加盟国では、このコードナンバーを持った宇宙船は、入港出港等の手続きが簡便になります。そのため、非加盟国に船籍のある宇宙船でも、コードナンバーだけは登録してあることが多いようです。

宇宙開発事業団(Space Developement)

 宇宙開発事業団(SD)は、未開発星系を調査し、開発に値するかどうかを認定し、開発する場合に、開発事業を行なうグループを選定します。調査から、開発グループ選定までを、1つの調査グループが行なうことになっています。
 けれども、未開発惑星の調査は非常に危険です。未知の危険な生物や病原体、汚染大気や危険な地形など、調査員を襲う危険は数知れません。
 開発に値するかの認定にも問題は有ります。開発申請を行なった者にとっては、認定拒否は、ほとんど死刑宣告に等しいのです。そのため、拒否しようとした調査員を殺そうとする事件も度々あります。なぜなら、途中で調査員が死亡した場合、新たな調査グループが再調査を行なうことになるからです。
 また、開発グループの選定においても危険が有ります。選定してもらおうと贈賄を行うとする開発グループも多数あります。金品を拒否した調査員を消してしまおうと暗殺者が送り込まれたことすらあるのです。
 しかし、このような危険にも関らず、SDは、銀河の開発のために努力しています。

銀河連合大学(Galactic Union Unversity)

 銀河連合大学(GUU)は、銀河連合付属の大学で、各種の研究を行なっています。その調査のために、あちこち飛回っている教授達も多いのです。
 しかし、遺跡調査などで現地のタブーに触れて拉致されたり、生物調査で危険な肉食動物に襲われたりすることも多いので、危険から身を守る準備は行なっておくように、大学から勧告が出ています。

銀河連合裁判所(Galactic Union Court)

 銀河連合の付属裁判所です。GUCには2つの機能が有ります。
 まずは、加盟国間の紛争を、司法手続をもって解決する機関です。この判決には加盟国は従わなければならないことになっています。この調査の際に、自分の国家に不都合な調査を妨害しようとする者は、後を立ちません。また、不利な判決が出た場合、判決に従わない国家も現れます。判決が履行されたかどうかの調査も、危険が伴うでしょう。
 もう一つは、加盟国の警察や裁判所が当てにならない場合に、最後の駆け込み寺としての役割です。加盟国の中には、腐敗した官僚組織を持つ国家も多数あります。そのような官僚によって不正が行われ、それによって被害を受けたり、無実の罪に落とされたりする者も、数知れません。そのような場合も、GUCに提訴することによって、救われる道が開けます。提訴があり、調査する価値が有ると判断された場合、GUCは秘密裏に調査員を派遣します。調査員は、独自の視点で事件を再調査し、場合によっては、逮捕されている者を実力で救出してくる権利すら与えられています。もちろん、妨害も激しいでしょう。

各国家の軍事力

 大国とそうでない国では、軍事力の規模が違うことは、現在と同じです。
 ここで、現在最大の軍事力を持つ太陽系連邦と、平均的国家であるアーレン共和国、それに開発中の植民星スラビクの、それぞれの軍事力を見てみましょう。

太陽系連邦

 太陽系連邦は、銀河連合所属国家の中でも、最大の軍事力を誇ります。主要艦艇の数を見ても、戦艦13隻、空母6隻、巡洋艦33隻、駆逐艦200隻以上と、名実共に最大です。また、この他に、海兵隊が強襲揚陸艦を10数隻保有しています。
太陽系連邦宇宙海軍
 内惑星艦隊
  第1タスクフォース(地球圏)
   第1戦隊     戦艦×3
   第1空母戦隊   空母×2
   第1巡洋艦戦隊  巡洋艦×3
   第4巡洋艦戦隊  巡洋艦×3
   第5駆逐戦隊   駆逐艦×8
   第8駆逐戦隊   駆逐艦×9

  第2タスクフォース(金星圏)
   第4戦隊     戦艦×4
   第2空母戦隊   空母×1
   第3巡洋艦戦隊  巡洋艦×2
   第6巡洋艦戦隊  巡洋艦×3
   第13駆逐戦隊  駆逐艦×8
   第16駆逐戦隊  駆逐艦×7

  第3タスクフォース(火星圏)
   第5空母戦隊   空母×1
   第2巡洋艦戦隊  巡洋艦×2
   第5巡洋艦戦隊  巡洋艦×3
   第9駆逐戦隊   駆逐艦×8
   第11駆逐戦隊  駆逐艦×8
   第25駆逐戦隊  駆逐艦×8

 外惑星艦隊
  第4タスクフォース(木星圏)
   第2戦隊     戦艦×3
   第3空母戦隊   空母×1
   第7巡洋艦戦隊  巡洋艦×3
   第9巡洋艦戦隊  巡洋艦×2
   第14駆逐戦隊  駆逐艦×8
   第19駆逐戦隊  駆逐艦×7

  第5タスクフォース(土星圏)
   第3戦隊     戦艦×3
   第4空母戦隊   空母×1
   第11巡洋艦戦隊 巡洋艦×2
   第14巡洋艦戦隊 巡洋艦×2
   第23駆逐戦隊  駆逐艦×8
   第17駆逐戦隊  駆逐艦×9

  第6タスクフォース(天王星以遠圏)
   第8巡洋艦戦隊  巡洋艦×2
   第10巡洋艦戦隊 巡洋艦×2
   第12巡洋艦戦隊 巡洋艦×2
   第13巡洋艦戦隊 巡洋艦×2
   第22駆逐戦隊  駆逐艦×6
   第30駆逐戦隊  駆逐艦×6
   第24駆逐戦隊  駆逐艦×6
   第28駆逐戦隊  駆逐艦×6
   第15駆逐戦隊  駆逐艦×6
   第12駆逐戦隊  駆逐艦×6

 その他の基地艦隊
   駆逐戦隊×12

アーレン共和国

 アーレン共和国は、平均的軍事力の国家の例です。アーレン共和国は、戦艦2隻、空母1隻、巡洋艦10隻、駆逐艦50隻ほどの戦力です。
アーレン共和国宇宙軍
 第1艦隊
  第1戦隊 戦艦×1
  第1空母戦隊 空母×1
  第1巡洋戦隊 巡洋艦×2
  第3駆逐戦隊 駆逐艦×10

 第2艦隊
  第2戦隊 戦艦×1
  第3巡洋戦隊 巡洋艦×2
  第4巡洋戦隊 巡洋艦×2
  第5駆逐戦隊 駆逐艦×10

 第3艦隊
  第2巡洋戦隊 巡洋艦×2
  第5巡洋戦隊 巡洋艦×2
  第1駆逐戦隊 駆逐艦×10
  第2駆逐戦隊 駆逐艦×10
  第4駆逐戦隊 駆逐艦×10

植民星スラビク

 植民を開始したばかりの、まだ国家になっていないような星では、戦力など無いも同然です。スラビクでは、巡洋艦2隻と駆逐艦12隻で、星系内のパトロールなどを行なっています。

スラビク防衛隊
 巡洋艦×2 駆逐艦×12

銀河連合の軍事力

 銀河連合は、各国の拠出金によって運営されており、その中から、軍事費も捻出しています。航路保護という名目があるので、数から言うと多数の艦艇を保持していますが、銀河連合が哨戒すべき宙域は余りに広く、現在の戦力でも到底追い付きません。
 現在銀河連合軍に属している艦艇は、戦艦28隻、空母14隻、巡洋艦64隻、駆逐艦694隻、強襲揚陸艦36隻です。その他に多くの補助艦艇があります。また、情報部に属しているため知られていない艦艇などもあるはずです。
銀河連合航路保全軍
 第1宙域軍
  第1戦艦隊    戦艦×2
  第1空母艦隊   空母×1
  第1巡洋艦隊   巡洋艦×3
  第1駆逐艦隊   駆逐艦×6
  第2駆逐艦隊   駆逐艦×6
  第3駆逐艦隊   駆逐艦×6
  第4駆逐艦隊   駆逐艦×6
  第5駆逐艦隊   駆逐艦×6
  第6駆逐艦隊   駆逐艦×6
  第7駆逐艦隊   駆逐艦×6
  第8駆逐艦隊   駆逐艦×6
  第9駆逐艦隊   駆逐艦×6
  第10駆逐艦隊  駆逐艦×6

 第2~10宙域軍
  第1宙域軍とほぼ同様

銀河連合機動軍
 第1機動軍
  第11戦艦隊   戦艦×2
  第11空母艦隊  空母×1
  第11巡洋艦隊  巡洋艦×2
  第12巡洋艦隊  巡洋艦×2
  第111駆逐艦隊 駆逐艦×8
  第112駆逐艦隊 駆逐艦×8

 第2~4機動軍
  第1機動軍と同様

銀河連合停戦監視軍
 第1停戦監視軍
  第1強襲揚陸艦隊 強襲揚陸艦×2
  第2強襲揚陸艦隊 強襲揚陸艦×2
  第3強襲揚陸艦隊 強襲揚陸艦×2
  第19巡洋艦隊  巡洋艦×3
  第211駆逐艦隊 駆逐艦×5

 第2~6停戦監視軍
  第1停戦監視軍と同様

企業

 銀河歴になっても、企業の競争に終わりはありません。他星系への植民の広がりとともに、幾つかの企業は消え、幾つかの企業が新たに発展しました。
 現在の主要産業のトップメーカーをリストアップしておきます。

コンピュータ

 現在、主流のコンピュータ会社は、「HAL」「ジャパン・コンピュータ(JC)」「サナップル(SA)」「デジタル・エレクトロニクス(DE)」等です。
 コンピュータ自身は、ハンディ型と大型とに2分されました。持ち歩きの出来るハンディコンピュータが高性能化し、大抵の用事はそれですむようになったのです。大型は、ハンディで出来ないような高度な判断を行なわせるために、生き残りました。けれども、デスクトップタイプは生き残れなかったのです。

ロボット

 ロボットには、自律型のものと、人間が乗って操縦する巨大ロボットとに分けられます。
 自律型ロボットは、「ジェネラル・エレクトロニクス(GE)」「トーヨコ・システムズ(TS)」「アシモフ・ロボット株式会社(AR)」等で作られています。
 パワードスーツや巨大ロボットは、「ジャイロ・エンタープライズ(JE)」「ミツモト・エンジニアリング(ME)」「ロラン」等で作られています。

武器

 武器は、エネルギー兵器とそれ以外で作っている会社が違います。
 エネルギー兵器は、「キャノン・エネルギー(CE)」「ローゼンバーグ・プロダクツ(RP)」「アントノフ・高エネルギー研究所(AE)」などで作られています。
 その他は、「マルゼン・バレット(MB)」「タラン」「ファンテ・アルマ(FA)」等で作られています。

ボディアーマー・宇宙服

 ボディアーマーや宇宙服などの、個人用防御装備は、「クリストフ・ディオー(CD)」「ヨツボシ・アーマーズ(YA)」「スペーススーツ・ディベロップメント(SD)」などで作られています。

乗り物

 宇宙船を作っている会社は、「ジェネラル・プロダクツ(GP)」「グラディウス・スペースシップ(GS)」「イシュカー・ハイル・インダストリー(IHI)」等で作られます。
 航空機の会社としては、「マクドナルド・ディベロップメント(MD)」「ナカジマ・エアーズ(NA)」等が有名です。
 その他の乗り物の会社として「ジェネラル・モービル(GM)」「ニッシン・モータース(NM)」「ブラウツェン・モート・ヴァーゲン(BMW)」等があります。

人材派遣業者

 銀河規模の人材派遣業者として、「スペース・サポート株式会社(SS)」「ギャラクシー・リクルート(GR)」「クオリティー・パートナーズ(QP)」等が有名です。これらの業者は、お茶くみから傭兵、コンパニオンから研究者まで、依頼が有ればどんな人材でも派遣してくれることで有名です。噂ですが、中には、依頼すればスパイだろうと暗殺者だろうと派遣してくれる会社さえあると言われています。
 これらの会社は、自社内部にも、多数の派遣員を確保していますが、依頼の少ない特殊業務や危険な業務、あちこちを飛回らなければならない業務などをこなすために、フリーランスの人材と契約を結んでいます。彼らフリーランスを、通称でレイダーと呼びます。
 彼らフリーランサーは、派遣業者から仕事を回してもらい、その代わりに10~20%ほどの手数料を会社に払います。もちろん、フリーですから、自分で仕事を取っても構いません。
 もしも、PCの立場設定で困ったのなら、スペース・サポート株式会社に登録しているフリーランスということにすると便利です。SSは、金儲けにはうるさく、少々ヤバイこともするけれど、基本的にはまっとうで、人倫にもとるようなことはしない会社であるとされているので、PCの所属先として適当です。

古代文明


 この宇宙では、あちこちに謎の崩壊を遂げた古代文明の遺跡が発見されます。この文明を作った種族が、どんな姿をしていたのか、どんな生活をしていたのか、どんな考え方をしていたのか、これらについてはほとんど分かっていません。もしかしたら、幾つもの古代文明が興り滅びていったのかも知れません。
 ただ、意味不明な遺跡があり、時たま使える発掘品が発見されます。ジャンプドライブも、この古代文明の残したものだと言われていますが、証拠はありません。


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