(C)hosoe hiromi
 "■このごろ堂へ"はまりもの両棲人間HOME

アレクサンドル・ベリャーエフ 作
「両棲人間」

Александр Беляев
Человек-Амфибия

細江版翻訳

2005.1.15 最終更新日

19 新しい友だち

 オルセンは、大きなランチ船の上に座り、足元の板の向こうに見える海の中を眺めていた。
 太陽は水平線から昇ったばかりだったが、日差しは透明な水を通してその小さな深みの底に、光の模様を描き出している。
 海底の白い砂底の上を、何人かのインディオが這っているように見える。彼らは時々息を継ぐために浮上し、再び水に潜っていった。
 オルセンは熱心に、真珠採りたちを目で追っている。
 まだ早い時間だったけれど、すでに暑くてたまらない。
(おやおや、どうして私だけが、ここで暑がってなきゃならないんだ?)
 彼はそう考えると、すぐさま服を抜いで、海に飛び込んだ。
 初めて潜水したオルセンは、それがすっかり気に入った。そしてさらに、自分が並のインディオよりも、ずっと長く潜っていられることにも、気がついた。彼はすっかり感動して、潜水夫たちと一緒に、この新しい体験に熱中した。
 彼が三度目に潜った時だ。二人のインディオが、まるで鮫かノコギリエイに追いかけられたかのように、海底を蹴って急いで海面に向かったので、オルセンは、その後ろをじっと見た。
 銀色のような鱗に覆われた異様なカエルの化け物が、まっすぐこちらに向かって泳いでくる。巨大な膨らんだ目と水かきのある足の、半人半蛙だ。
 オルセンも急いで浮上したが、カエルもその手でぐいぐいと水を掻き、彼が海面に出る寸前、怪物は彼に近づき、カエルの手で彼の腕を捕まえた。
 オルセンは恐ろしかったにもかかわらず、その怪物の本質が、美しい人間であることに気が付いた。ただ、水とガラスと鱗のきらめきが目を惑わせて、大きく見せているだけなのだ。
 まるで海の中だということを忘れいるかのように、怪物は彼に何か話しかけてきた。しかしオルセンにその声は聞こえず、ただその唇が動いているのが見えるだけだ。
 怪物は、その二本の前足で、オルセンの腕をしっかり掴んで放そうとしない。
 オルセンは海底をおもいっきり足で蹴ると、怪物の手を振り払い、水面へと急ごうとした。
 怪物は腕を放そうとせず、引っ張り戻そうとする。
 オルセンはなんとか海面に出ると、ランチ船の縁にしがみつき、足を引っ掛けてよじ登る。そして力を込めて半人半蛙を海の中へと追い払おうとした。
 水しぶきが上がり、ランチ船の中に座り込んでいたインディオたちが、我先にと海に飛び込み、海岸に向かって泳ぎだす。
 海中に蹴り落とされた怪物は、再びランチ船に近づくと、オルセンに向かってスペイン語で呼びかけた。
「オルセン。僕はグッチエーレのことを聞きたいだけなんだ」
 オルセンは驚いた。水中で怪物とであった時ほどではなかったが。
 彼は勇敢で、根性もあった。自分とグッチエーレの名前を知っているなら、こいつは怪物ではなく、間違いなく人間なのだろう。
「君の話しはグッチエーレから聞いているよ」と、オルセンは返事をした。
 するとイフチアンドルはランチ船によじ登り、お辞儀をして、足を抱えるように組んで座った。
 オルセンは、初めて見る膨らんだ輝く目を、注意深く観察した。
(水中眼鏡だ!)
「僕はイフチアンドルです。僕は一度、海の底から、あなたにネックレスを拾ってあげたことがあります」
「けれどもその時は、君は人間の目と手を持っていた」
 イフチアンドルは微笑んで、自分の蛙のような足を振りながら、あっさり言った。
「脱げます」
「思ったとおりだ」
 好奇心の強いインディオが、海岸の崖から覗き見ているが、話の内容がわかるほど近くはない。
 わずかに黙れ込んでから、イフチアンドルはこう聞いた。
「グッチエーレを愛していますか?」
「あぁ、好きだよ」
 イフチアンドルは、大きなため息をつく。
「彼女もあなたを愛しているんですか?」
「彼女も僕を好きだろうね」
「でも、彼女は本当は僕を愛しているんだ」
「それは彼女なりの問題さ」と、オルセンは肩をすくめた。
「彼女なりの問題……? 彼女はあなたの花嫁なのに」
 オルセンは驚いたが、なんとか顔に出さないですんだ。
「いいや、私の花嫁じゃないよ」
「そんなことない」
 イフチアンドルは、急に興奮しだした。
「彼女が花嫁だって、馬に乗った浅黒い男が言ったんだ」
「私の?」
 イフチアンドルは、混乱した。確かに浅黒い男は、グッチエーレはオルセンの花嫁だとは言わなかった。けれどもグッチエーレのような若い娘が、あのずいぶん年上の浅黒い不愉快な男の花嫁ということが、ありえるのだろうか? きっと、浅黒い男は、彼女の親類かなんかなのだろう。
 イフチアンドルは、質問を変えた。
「ここで何をしていたの? 真珠採り?」
「正直いって、君の質問は不愉快だと言いたいね」と、オルセンは憂鬱そうな顔をした。「グッチエーレから君のことを聞いていなかったら、私は君をランチ船から海に突き落として、話しを終わらせているところだよ。君にはナイフがあるだろうが、私は君が立ち上がる前に、オールで頭を殴ることができるしね。けれど実のところ、私は真珠を探していたんだよ」
「僕が海に捨てた大きな真珠ですか? グッチエーレがそのことも、あなたに話したんですか?」
 オルセンが黙って頷くと、イフチアンドルは、嬉しそうな顔をした。
「ほらね。僕は彼女に、あなたなら欲しがるだろうって言ったんですよ。僕は、いらないなくても受け取って、後であなたにあげたらいいって、そう言ったんです。でも彼女はきっぱり断って、でもあなたは今それを探している」
「今は君のじゃなく海のものだ。だから私が見つけたなら、誰はばかることなく私の物になる」
「そんなに真珠が好きなんですか?」
「私は女じゃないから、小さなアクセサリーが好きなわけじゃない。けれど真珠があればできることがあるんだ」
「わかった。真珠を売って、お金をたくさん手に入れたいんだ」
 オルセンは、再び頷いた。
「じゃあ、お金が好きなんですか?」
「君は私に、何を言いたいんだ」オルセンはイライラしながら尋ねた。
「僕は、なぜグッチエーレが、あなたに真珠をプレゼントしたのか知りたいんです。あなたは彼女と、結婚するつもりだったんでしょ」
「違うよ。それにそうだとしても、もう遅い。グッチエーレは他人の妻になった」
 イフチアンドルは真っ青になって、オルセンの手を掴むと、ただこれだけ聞いた。
「本当なの? 浅黒い男と?」
「そうだよ。彼女はペドロ・ズリタと結婚した」
「けど彼女は……。彼女は僕を愛していると思っていたのに」
 イフチアンドルが小さく呟やくと、オルセンは短いパイプに火をつけて煙らしながら、同情の目で彼を見て、ゆっくりと言った。
「そうだね。私も、彼女が愛していたのは君だと思う。けれど君は、彼女の目の前で海に沈んだ。少なくとも、彼女はそう考えた」
 イフチアンドルは驚いてオルセンをじっと見た。イフチアンドルはグッチエーレに、彼が水の中でも生きていられることは話していない。崖から海に飛び込んだことが、彼女に自殺と取られるとは、考えもしていなかった。
「僕は昨夜、グッチエーレに会って来た。彼女は君の死で悲観しきっていた。イフチアンドルが死んだのは自分のせいだと、彼女は嘆いていた」
「でも、でも、彼女はどうしてこんなにもすぐに結婚したの。僕は彼女の命を助けた。そう、そうだよ! ずっと前、僕はグッチエーレそっくりの溺れた娘さんを助けたんだ。僕は海岸に運んで、岩陰に隠れた。けれど後から浅黒い男がやってきて、自分が助けたようなふりをしたんだ」
「グッチエーレも、こんなことを話していた。誰が助けてくれたのかわからない。ズリタが自分が助けたのだと言う前に、奇妙な何かを見たような気がすると。どうして君は、自分が助けたんだと言わなかったんだい?」
「自分のことは言い難いよ。それに、ズリタを見るまでは、本当に助けたのがグッチエーレだっていう確信もなかったんだ。だけど、どうして彼女は結婚することにしたんです?」
「私にもわからない」
「知ってることだけでも教えて下さい」
「私はボタン工場で働いて、貝の検査係りをしている。グッチエーレはお父さんの手が放せないときに、貝を持ってやって来た。そして友だちになったんだ。私たちは時々工場の入り口のところで待ち合わせて、海岸や港を散歩した。そのとき彼女は、憂鬱そうに言っていた。金持ちのスペイン人に口説かれて困っているってね」
「ズリタのことですか?」
「そう。ズリタだ。グッチエーレのお父さん、つまりバルタザールは、この結婚話がうまくいくことを望んで、一生懸命彼女を説得していた。こんなにも素晴らしい婚約者はないといってね」
「どこが素晴らしいんです? 年上すぎるし、汚らわしいし、臭いじゃないですか」
 イフチアンドルは納得できなかった。
「バルタザールにとっては、ズリタは最良の義理の息子になるからさ……。バルタザールは、ズリタに大きな借金があるからね。ズリタはグッチエーレが結婚を断るようなら、バルタザールを破滅させかねない。彼女にしてみれば、ズリタは言い寄ってくるし、父親はうるさく小言を言われるし……」
「なぜグッチエーレは、ズリタを追い払わなかったんです? それにあなたもなぜ、ズリタを殴らなかったんです? 体も大きくて強いのに」
 オルセンは、微笑みながらも驚いた。イフチアンドルは愚か者ではないのに、こんな質問を真面目にする。いったいどう育てられ、育ってきたのか。
「ことはそんなに簡単じゃないんだ。法律も、警察も、そして裁判所も、ズリタやバルタザールに味方するだろうしね」
 それは、イフチアンドルには理解できなないようだった。
「じゃあ、なぜ逃げ出さなかったんです」
「逃げ出すことになってたんだ。お父さんからもね。そして私は、彼女を助けると約束したんだ。私はグッチエーレに、ブエノスアイレスを出て北アメリカに行こうと提案した」
「そして結婚するつもりだったんですか?」
 しかしオルセンは再び微笑んだ。
「友だちだって言っただろ。それ以上のものであったかどうかは、……私にはわからない……」
「じゃあなぜ行かなかったんですか?」
「旅費がなかったんだ」
「ホロックス号に乗るのって、そんなにお金が掛かるんですか?」
「ホロックス号だって! あれは大金持ちが乗る船だよ。そんな質問をするなんて、君は月からでも落ちてきたのかい?」
 イフチアンドルは当惑して頬を染め、オルセンに自分の無知を曝すまいと、口をつぐんだ。
「私たちは、ホロックス号どころか、貨物船に乗るためのお金もなかったんだ。向こういったってすぐに仕事が見つからないだろうから、当面の生活費も用意しないといけないしね」
 イフチアンドルには、オルセンの言っていることにわからない部分があったけれど、質問するのはやめておいた。
「だからグッチエーレは、真珠のネックレスを売ることにしたんだよ」
「僕がそれを知っていたら!」
 水中の宝物について思い出して、イフチアンドルはそう叫んだ。
「なんだって?」
「なんでもありません……。オルセン、続けてください」
「逃げ出す準備は、全て整った……」
「ちょっと待って! 僕は……。僕はどうなるんです? 彼女は僕を置き去りにしようとしたってことなんですか?」
「これは全部、君が現れるまえに始まったんだ。ただ私が知る限り、彼女は君に話すつもりだった。一緒に行って君と結婚するために。そして最後まで君に逃げ出すことを話す機会がなかったら、手紙を書いたに違いない」
「けど、なぜあなたとなんです? 僕ではなく。あなたに相談し、あなたと一緒に行こうとした!」
「私と彼女は、一年以上前に知り合ってるんだってば。そして君は……」
「すみません。僕の言ったことは気にしないで、先を続けて下さい」
「というわけで、準備ができたんだ。けれどその時、君はズリタと出会い、彼女の目の前で海に身投げしてしまった。私は朝早く、工場に出勤する前にグッチエーレの所へ行ったんだ。私はちょくちょく、そうしてたんだ。バルタザールも私には嫌な顔をしなかった。どうやら私は、ズリタが強情なグッチエーレを諦めた時のための、予備の婚約者のつもりでいたらしい。バルタザールは、一緒のところをズリタに見られるなとは言ったが、それ以上は私たちのことを干渉しなかったんだ。彼は私たちの計画には、まったく気づいていなかったんだ。
 そして私は今朝、汽船の切符を用意したから、夜の十時までに準備しておくようにと、グッチエーレに伝えるために、彼女の家に行ったんだ。けれど興奮したバルタザールが、こう言った。
『グッチエーレはもういない。あの子はもうもどってこない。三十分前、家の前にズリタがピカピカの自動車を乗りつけた。すごいヤツだ! 自動車だぞ。家の前に自動車が横づけされるなんてことは、この通りじゃあったためしがない。俺もグッチエーレも表に飛び出した。ズリタは車の扉を開けて、グッチエーレに市場まで連れてってやろうと誘った。やつはグッチエーレが市場まで出かけることを知ってたからな。グッチエーレはまぶしそうに車を見た。こいつが若い女の子を誘惑してるってことは、あんたにはわかるよな。けどグッチエーレは疑い深くて小賢しいから丁重に断ったんだ。こんな頑固な娘がどこにいる!』
 彼は怒って叫んだよ。けれどいきなり笑いだしたんだ。
『しかしズリタの方が頭がいい! ヤツは、恥ずかしがってるようだな、手伝ってやろうと言って、娘を掴むと自動車に押し込んで、グッチエーレが「父さん!」と言うか言わないかのうちに行ってしまった。俺は、あいつらはもう戻ってこないと思ってるよ。もしお前が俺にグッチエーレはどこだって聞くってんなら、ズリタの家に間違いない』
 バルタザールは、嬉しそうに私にそう言うから、私は憤慨してバルタザールにこう言った。
『目の前で自分の娘をさらわれたのに、ずいぶんと楽しそうじゃありませんか!』
 するとバルタザールは驚いてこう言ったんだ。
『何を心配しろと言うんだ。ズリタのことはずっと前から知っている。あのドケチがグッチエーレの気を引くためだけに、半端じゃない金を使って車を買ったんだぞ。それに乗って来たってことは、結婚したも同じってことだ。しかし、いくら強情でも、金持ちに望まれて泣くことはない。ズリタは、おそらくパラナの町の近郊に持っているドロラス牧場に連れていったんだろう。あいつの母親が住んでいる所だ』」
「で、バルタザールを殴ったんですか?」
「君の話だと、何かと戦ってばかりいなきゃならないな。確かに私も、バルタザールを殴りたいと思ったよ。けれどそれじゃ事態を悪くするだけだ。私はまだ、なにか手があると思っていたんだ。グッチエーレに会えばね」
「ドロラス牧場へ行って?」
「そう」
「悪党のズリタを殺して、グッチエーレを逃がしてあげなかったの?」
「ぶん殴って、今度は殺すだって! なぜそんなにも血に飢えてるんだ?」
「血になんて飢えてないよ!」と、涙を流しながらイフチアンドルは叫んだ。「ただ、あんまりにもひどいじゃないか!」
 オルセンはイフチアンドルが痛ましくなった。
「君は正しいよ。イフチアンドル。ズリタもバルタザールも、怒りにも軽蔑にも値しない連中だ。あいつらを殴るのは悪くない考えだ。けれど実際には、物事はもっと複雑なんだ。グッチエーレは自分の考えで、ズリタから逃げるのを諦めてしまったんだよ」
「自分の考えで?」
 イフチアンドルは、信じなかった。
「そうだよ。自分の考えでだ」
「なぜ?」
「一つは、君が自殺したと信じてるからさ。彼女は君の死を重く取った。彼女はとても君を愛しているたんだろう。『オルセン、私は死んだも同じよ』って、彼女は私に言ったんだ。『私にはなんの希望もない、私のことをかまわないで。ズリタが呼んでおいた司祭様が、私たちを結婚させたわ。そして私に結婚指輪を嵌めて言ったの。何もかも神のおぼしめしである。神が結びつけた者を、人が切り離してはならないって。私はズリタと一緒になるなんて幸せだとは思えないけど、神様に逆らうなんて恐れ多いことできないわ』ってね」
「そんなのおかしいよ! 神が何だって? 父さんは、神なんて小さな子どもたちのためのおとぎ話だって言ってたよ!」と、イフチアンドルは大声で叫んだ。「あなたは彼女を、説得できなかったの?」
「残念ながらグッチエーレは、そのおとぎ話を信じてるんだ。宣教師が彼女を信心深いカトリック教徒にしてしまってね。前から私も説得はしていたんだが、思いとどまらせることはできなかった。もし私が彼女に神と教会を貶すことを言うなら絶交するとまで言われていた。時間が必要だった。けれど牧場じゃ時間なんてなかった。彼女とは、ほんのちょっとしか話せなかったんだ。
 そうだ、これは彼女に聞いたことなんだが、ズリタはグッチエーレとの結婚式の後、笑いながら叫んだそうだ。『これで面倒が一つ片付いた! 小鳥は捕らえてカゴに入れたぞ。あとは小魚を残すのみだ!』。そしてズリタは、小魚についてグッチエーレにこう話した。彼は海の悪魔を捕まえるためにブエノスアイレスに行く。そして小魚を捕まえて、グッチエーレも大富豪になる。小魚とは、君のことじゃないのか? 君は水中でも平気だし、真珠採りたちを怖がらせているしね……」
 イフチアンドルには、説明できなかったわけではないが、オルセンに秘密を打ち明けることを警戒し、逆に質問した。
「なぜズリタは、海の悪魔を捕まえたいんだろう」
「たぶん、真珠採りをさせるつもりだろう。もし君が海の悪魔なら気をつけるんだぞ!」
「ご親切に、ありがとう」
 イフチアンドルは、自分のイタズラを新聞や雑誌が書き立てていて、海岸中に知られているとは思いもしていなかった。
「でも、できません」と、イフチアンドルは唐突に言った。「この目で確かめないと。たとえそれが最後になっても一目会いたいんです。パラナはパラナ川の上流にある町ですよね。知ってます。でも、パラナからドロラス牧場までどう行けばいいんですか?」
 オルセンが説明すると、イフチアンドルは彼の手をしっかりと握った。
「あやまります。僕は敵に会いに来て、おもいがけず友だちを見つけました。許して下さい。僕はグッチエーレを探しに行きます」
「今すぐかい?」と、オルセンは微笑んだ。
「ええ。一分だって待てません」
 イフチアンドルは、海岸に向かって海に飛び込んだ。
 オルセンはただ、頭をふっただけだった。

次へ