1969/9/1から1971/12/31まで、サンケイ新聞紙上に連日連載された、手塚治虫のマンガです。掲載時は、「青いトリトン」。
アニメの、海のトリトンの原作として知られていますが、その内容はアニメとはまったく異なっています。
秋田書店版、講談社の手塚治虫全集版、そして秋田文庫版の順で、海のトリトンのタイトルで、発売されました。
ちなみに、前者2つは4巻組、秋田文庫版は3巻組です。
データは、現在一番入手しやすいと思われる、秋田文庫版です。
内容的には、表紙と、後書き(あるいは解説)以外、ほとんど違いは、ありません。
表紙の違い
秋田書店版と講談社の全集版では、たぶん手塚治虫本人が描いていますが、秋田書店版は黒髪で、講談社版は青髪になっています。
そして秋田文庫は、西口司郎によるリアルっぽいイラストです。
それぞれに楽しめますので、見比べてみるのも、いいでしょう。
内容の違い
秋田文庫版の3巻212ページの右下のコマ、洪水に沈んだ町の前景に「手塚プロ」、その後ろに「秋田書店」の看板が見えますが、講談社版では、これが白く塗りつぶされています。
手塚プロの後ろですから、最初から空白だったと考えるより、なにか書いてあったと考えるほうが、自然でしょう。もしかすると、掲載時には「サンケイ新聞」とでも書いてあったのかもしれません。
いずれにしろ、講談社版が記録全集を名乗るからには、クオリティを向上させるための加筆修正ならともかく、こうした些細な修正こそ、入れてほしくなかったように、思わないではありません。
掲載時のままにするか、いっそ「講談社」として、解説でも入れといてほしかったところです。(って、ウソです。そんなにこだわりません。)
後書き・解説の違い
秋田書店版には、ありません。
講談社の記録全集版の4巻には、後書きがあります。
これによると、最初はスポコンとか根性とかの、当時の人気ネタを入れてほしいという要望があり、その傾向も入れてみたが、あれよあれよとキャラクターが動き出し、SF伝奇(原文通り)ものになってしまったとあります。
また、放映されたアニメ版海のトリトンとは別もの、アニメ売り込み用のパイロットフィルムが作られたともあり、現存するなら見てみたい気いっぱいです。
また、放映されたアニメ版海のトリトンには、原作者としてしか、かかわっていないと、わざわざ書いています。
秋田文庫版1巻には、マンガ家里中満智子、2巻には歌手南こうせつ、3巻にはスイミングアドバイザーの、木原光知子が、解説を書いています。
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2 「トリトン族と、ポセイドン族」
次回予告
ちょっとばかり設定について細江が考察?
とにもかくにも、イルカクリーック!